研究分担者 |
岡田 栄造 京都工芸繊維大学, 造形科学域, 教授 (10346116)
五十嵐 威暢 多摩美術大学, -, 名誉教授 (10649180)
シャルル クリストフ 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (50319224)
濱田 芳治 多摩美術大学, 美術学部, 准教授 (50445623)
山本 政幸 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (80304145)
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研究実績の概要 |
今年度は、2箇所の調査報告を中心にの分析評価を行った。 (1) スウェーデン及びフランスに於けるサウンドデザインの調査報告(クリストフ・シャルル教授) 今回は電車や駅などの公的空間のサウンドデザイン,またスマートフォン端末のGPS機能を使用したサウンドナビゲーション,という一連の代表的な例を取り上げ,現在の作曲家やサウンドデザイナーは,公的空間に於ける「音の空間・空間の音」をどのように考えているかを考察した。「ユニバーサル」という概念は,特定の鑑賞者をターゲットしたデザインではなく,即時に,もしくは最低限の時間において理解できる簡単なルールによって,どのユーザーも利用できるような状況を提案している。現在に於いて,GPSは第三の目になっている。日常では視覚情報が集中しており,聴覚情報はまだ利用不足という状態の中で,聴覚は拡張現実の開発には役立つと考えられる。 (2)デンマークにおけるランドスケープのデザイン(五十嵐威暢教授の報告) 障害者にとっては気づくことが容易な僅かな差異によるデザインは障害のない人間には分からないことが多く,さりげないデザインの実現が大事である。障害者は行動範囲が制限されがちだが,自然に触れられるデザインは障害者が持っている潜在能力を引き出すことにつながる。特に視覚障害者の場合,まちや建物の中で自分がどこにいるかが分かっていることが重要で,そのための情報を空間デザインや平面プランの中に組みこむことが求められる。アクセシビリを容易にするための工夫が却って新しいデザインを生む可能性を秘めている。バリアフリーを実現すると建築の本質や価値が失われる場合でも,そのバランス感覚を維持して取り組むべきである。建物とその環境との共生は高齢者や障害者にとっても,ふつうに生活できることの基本であり,健康を重視する起点となっている。
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