研究課題/領域番号 |
25300009
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田原 史起 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20308563)
|
研究分担者 |
松里 公孝 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20240640)
中溝 和弥 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (90596793)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 地方政治 / 比較 / 中国 / ロシア / インド |
研究実績の概要 |
二年目にあたる平成26年度では,三地域における現地調査を全面的に展開し,中国・ロシア・インドにおける地方政治の地域的特徴というものを丹念に掘り出すことを試みた。現場で観察するコミュニティ・スタディの手法により,地方政治の諸構成要素(社会政策,地方自治,政党政治をそのうちに含む)間の相互関係を発見し,「地方政治」を現地社会の文脈から分断した抽象論ではなく,地域社会の全体的な視点から位置 づけることを目指した。 具体的には,第一に,中国研究者の田原が,4月から6月の2か月にわたり,インド・テランガナ州の村に住み込み,インド総選挙の時期を挟む地方政治の様態を詳細に観察・記録することができた。研究代表者によるこの調査の内容は,地方政治に限られず経済,社会,文化,宗教にもまたがる包括的なもので,130頁に及ぶフィールド記録のほか,多数の写真,現地に関る文献資料も収集することができた。第二に,研究代表者の田原は,7月末にロシア・タンボフ州の村に通算三度目の訪問を行い,10日ほど住み込み調査を行った。主として村の議員やキーパーソンに対するインタビューを実施し,あまり知られていないロシアの村落生活と上級政治との関係について貴重なデータを収集できた。第三に,インド研究者の中溝はロシア研究者の松里の同行で,8月にロシア・ダゲスタン共和国に訪問した。そこでは,ソ連崩壊後、代議制が導入されたことによりダゲスタンの社会がどのように変化したかという関心に基づいて調査を行なった。とりわけ、ソ連時代とソ連崩壊後のエリートの連続性に焦点を当て、インタビュー調査を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,三人のメンバーが自らの専門地域以外の二つの国を毎年一度ずつ調査することを目指していたが,それぞれが他の仕事を抱え多忙であり,また日程調整の不備などの事情から,ロシア研究者の中国,インドでの調査,およびインド研究者の中国での調査が今年度は実施できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる平成27年度では,まず何をおいても「三人のメンバーが自らの専門地域以外の二つの国を毎年一度ずつ調査する」という目標を達成し,また相互啓発のための意見交換をさらに活発に行っていく予定である。夏季に開かれるスラブ・ユーラシア関係の国際学会(ICCEES)では,田原と中溝が一つのパネルで報告を行い,本課題の成果を世に問うことが決まっている。
|