研究課題
本研究は最近まで外国人による学術調査が許可されなかったミャンマー・チン州北部において、水環境など生活環境の現状を把握し、少数民族の生活改善に有用な自然資源を調査した。27年度は総選挙が秋に予定されており不測の事態を避けるため5月に調査を行った。雨季に入った頃の植物の調査は初めてである。ケネディ山の調査のみ雨季終期の10月下旬にも行った。植物:5月に昨年と同様にケネディ山頂上付近で草地2地点、森において植物群落を調査した。これまで枯れたものしか見られなかった植物及びその花、新しいものなどを観察できた。ショウガ科の花数種、アヤメ科などが見られた。10月は植物観察のみを行った。チン州の焼畑が余り行われない山岳地帯では日本の薬用植物属が多く見受けられ、未利用の薬用資源が豊富に温存されていることが示唆された。土地利用図の作成:昨年度からQGISを用いて始め、ティディムからハカまで南北85 km、東西はチン丘陵の始まりからインド国境まで、面積6600平方kmの範囲で集落分布を調べた。集落の分布は標高及び水平方向に偏りが見られた。Google Earthの衛星画像から棚田、常畑、焼畑、草地を推定し、実際に行ってみて確かめた。ハカ周辺にはかなりの面積の棚田が存在した。薬用資源:3年間にわたりチン州北部山岳地域、カレーミヨ市場生薬店および小売店、ヤンゴン生薬店、バガン伝統薬治療所の調査を行ったところ、52種類の薬用植物が使われていた。これらのうちで主要なもの20種を中心にミャンマーハーバル薬局方の作成に協力した。水環境:カレーミヨ、ティディム、ファラム、バガンの宿泊施設の水道水(井戸または川の水を貯水槽にためたもの)、河川水(マニプール川、チンドウィン川、エーヤワディー川)の水質検査を行った。飲水は大腸菌群の存在以外はかなり良好といえる。また河川水は水系によりかなり水質が異なった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Toxins
巻: 8(4) ページ: 114-125
10.3390/toxins8040114
Journal of Natural Medicines
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