研究課題/領域番号 |
25300022
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
月本 昭男 立教大学, 文学部, 教授 (10147928)
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研究分担者 |
長谷川 修一 盛岡大学, 文学部, 准教授 (70624609)
津本 英利 (財)古代オリエント博物館, 研究部, 研究員 (40553045)
山我 哲雄 北星学園大学, 経済学部, 教授 (80230332)
魯 恩碩 国際基督教大学, 教育学部, 准教授 (70527142)
山内 紀嗣 天理大学, 附属天理参考館, 学芸員 (80441426)
日野 宏 天理大学, 附属天理参考館, 学芸員 (20421290)
橋本 英将 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸研究部, 研究員 (80372168)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 墓制 / 宗教遺物 / 後期青銅器時代 / 初期鉄器時代 / テル・レヘシュ / テル・ゼロール |
研究概要 |
本研究は、日本の遺跡発掘調査団により発掘調査された古代イスラエルの考古遺跡テル・ゼロール(1964~1966年、1974年、団長、大畠清東京大学教授、当時)およびテル・レヘシュ(2005~2010年、団長、月本昭男)で発見された宗教遺構・遺物を精査するとともに、他の遺跡から出土した宗教遺構・遺物との比較研究を通して、古代イスラエルが成立する後期青銅器時代(紀元前2千年紀後半)から鉄器時代(紀元前1千年紀前半)にいたる宗教文化の変容を実証的に解明することを目的とする。 このような目的に沿って、平成25年度は以下の調査研究を実施し、一定の成果を得た。 1.夏季に研究代表者及び3名の研究分担者がイスラエルにおける現地調査を実施し、テル・ゼロールの墓地資料を確認するとともに、テル・レヘシュ遺跡出土の宗教遺物の資料化を行った。また、天理大学附属参考館に保管されているテル・ゼロール関連の資料を精査し、これを確認した。 2.12月にイスラエル考古学研究会を開催し、テル・レヘシュ出土の「タンバリンを持つ女性土偶」2点に関する比較検討を行った。その結果、それらがレホブ遺跡の鉄器時代層から出土した土偶と共通点を有することを確認した。 3.研究会等で、古代イスラエルが成立する後期青銅器時代から初期鉄器時代への移行期に関する物質文化の変化に関する検討を実施した。その結果、パレスチナ諸遺跡においては、物質文化の継続性が広範に認められることを確認しえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、全体として宗教遺構・遺物の資料精査および比較資料の収集を中心とした研究であったが、それらを実施するなかで、後期青銅器時代から初期鉄器時代への移行期、すなわち古代イスラエルの生成期は必ずしも物質文化の大きな変化を伴わないことが確認された。これは、古代イスラエルの成立に関して、今後の研究にとって重要な方向性を示す知見となるであろう。したがって、平成25年度の研究は本研究の基礎作業として十分な意味をもつと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降も、引き続き、イスラエルにおける現地調査を進めると同時に、日本の調査団が発見した宗教遺構と遺物と他の遺跡から出土する資料との比較検討を行う。なかでも重要な課題として次の3点が遂行されねばならないと考える。 1.テル・ゼロールの墓地に関する資料のさらなる精査、および比較検討資料の整理と分析(テータ化)。 2.それらに看取される他界観と後のユダヤ・キリスト教へと継承されるヘブライ語聖書の他界観との比較研究。 3.テル・ゼロールおよびテル・レヘシュ遺跡出土の宗教遺物(祭儀台、女神土偶、「生命の樹」他)の宗教的機能やその宗教史的意味の解明。
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