研究課題/領域番号 |
25300028
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中野 三敏 九州大学, 韓国研究センター, 名誉教授 (70036987)
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研究分担者 |
花田 富二夫 ノースアジア大学, 教養部, 教授 (00110205)
亀井 森 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (40509816)
飯倉 洋一 大阪大学, 文学研究科, 教授 (40176037)
宮崎 修多 成城大学, 文芸学部, 教授 (30219761)
川平 敏文 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60336972)
久保田 啓一 広島大学, 文学研究科, 教授 (80186452)
大庭 卓也 久留米大学, 文学部, 准教授 (20511661)
松原 孝俊 九州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20150378)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ホノルル美術館 / 国際書誌情報交換 / リチャードレイン / 伽婢子江戸版の確認 / 初出の青本赤本 / 初出の上方子供絵本 |
研究概要 |
本研究の目的は、 アメリカ合衆国ホノルル美術館所蔵和本3000 点以上、約14000 冊を書誌調査し、その目録を作成することにある。著名な日本美術品蔵書家であった故リチャード・レイン氏旧蔵であるがゆえに、17世紀江戸時代文化の宝庫であると期待されていた。その予想通りに、(1)江戸時代以前から初期、中期、後期までの絵入版本を中心とした貴重書・新出書、更には異版本・改版・海賊版による出版の系譜研究--例えば「一休はなし」の異版本は30 数点存在--だけでなく、(2)『伽婢子』の江戸版、つまり寛文11 年刊鱗形屋本13巻13冊の全巻揃いの完本の存在を確認し、その影印刊行、(3)富川房信画の「浅艸名物ゑづくし」、吟雪になってからの「四海吉例大福帳」、画工名無記の「箱根七湯奇瑞」など20数点の「小説年表」に未記載の青本・赤本の指摘などは、学界への適切な貢献となったはずである。3年計画の初年度であったが、菱川師宣50数点、西川祐信50点弱、子供絵本110数点(この大多数が初出)、徒然草70数点、読本60数点等、総数約730点の調査を順調に終了した。現在のその書誌データの整備中であるが、伽婢子に関しては、『仮名草子集成』第51巻に、花田富二夫編(2014年3月30日・東京堂出版発行、A5判・384頁)として、ホノルル美術館リチャード・レインコレクション『伽婢子』紹介(英文)、ホノルル美術館リチャード・レインコレクション『伽婢子』紹介(翻訳)、『假名草子集成』で使用する漢字の字体についてと共に、早々に紹介を終えた。一方、青本・赤本 に関しても、専門家である木村八重子によって、学界初出20数本を影印化する作業を進めており、平成26年度中に刊行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十分なパイロットサーベイを踏まえての書誌調査であり、しかもその分野の一流専門家の投入による調査であっただけに、その研究成果はおおむね順調に進展した。加えて、大学院生を同行して、仮名草子など江戸初期出版文化を知るに最適な環境の中で、その来歴や異本などを丹念に探求できる指導体制も整備したので、将来有望な次世代研究者育成にも欧文の寄与ができたと信じる。
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今後の研究の推進方策 |
第2年次である平成26年度においては、その書誌調査を複数回に拡大して、さらにその分野の専門家を導入したい。例えば、「松会版」であればその分野の専門家に参加を要望して、あるいは「草双紙」「浮世草子」にしても、さらには菱川師宣・西川祐信などの専門家による精細な調査を実施することで、本研究プロジェクトがもたらす成果はより実り多くなるはずである。その傍らで、海外の次世代研究者の育成にも努めたい。単に日本国内の日本近世文学者のみを対象とする研究ではなく、日本文化のソフトパワー発揮を期待しつつ、グローバル化戦略の中で本研究プロジェクトを進展させることで、ハワイに所蔵される至玉の和本群が公知となるように、その英文による情報発信にも努力したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費の支出に当たり、事前割引など適切な航空券購入などに努力して、経費節約と効率的な運用に努めた結果である。 次年度以降の人件費などに割り振るつもりである。
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