北部ペルー、モスキート平原に先土器期に神殿が成立した背景を、編年と地域社会の変化のプロセスに着目して考察するのが研究の主目的である。この平原には石造の基壇やテラスなどの遺構が多数分布する。それらの分布をトータルステーション測量し、27の地点にて発掘を実施した。大規模建築「モスキートZ1」の発掘では、何世紀にもおよぶ神殿の改変・更新過程が詳細に解明された。また他にも先土器期の祭祀的な建築複合や、耕作の痕跡のあるテラス群が平原内に複数認められた。これらの祭祀建築と、耕作地との空間的な関係および編年上の一致から、最初期の大規模建築の成立は農業生産と結びついていたと示唆される。
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