研究課題
本研究課題である「中国新石器文化崧澤文化期における稲作農耕の実態研究」に対して、特に1)崧澤文化の起源と展開、2)復元石犂のけん引実験、3)稲作農耕の生産量、4)崧澤文化期の遺跡の地理選択および分布、5)古代西アジアの犁耕作との比較研究など幅広く、充実した研究成果を導くことができた。1)崧澤文化の起源と展開については、湖北省東部、安徽省南部の長江流域の諸新石器文化との比較研究を進め、その関連資料となる土器や石器より、稲作農耕および技術などを含めた交流が存在したことを確認できた。2)復元石犂のけん引実験においては、宮崎大学における実験を踏まえ、2016年10月に中国浙江省遂昌県の農田において、耕牛による復元石犂のけん引実験を実施した。有益な力量データを獲得したのみならず、犁先の装着方法などについて、新たな知見を得ることができた。3)稲作農耕の生産量の研究は、プラント・オパール分析により仙壇廟遺跡周辺の水田地と想定される地点の定量分析を行い、具体的な数値をもって河姆渡文化から良渚文化へと向かう中間的な位置付けにあることを確認することができた。4)崧澤文化期の遺跡の地理学的研究においては、長江デルタ地帯における海退と乾燥化による平野部の拡大とともに、崧澤文化期の遺跡分布が拡がっていったことが確認できた。5)古代西アジアの犁耕作との比較研究については、西アジア古代文明期の豊富な絵画資料等から牛耕が進んでいたことが確認でき、それと東アジアにおける関係について、より研究の進展を期待できる成果を得ることができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)
第75回農業食料工学会年次大会講演要旨
巻: ー ページ: 88
崧澤文化学術研討会論文集
巻: ー ページ: 278-283