研究概要 |
25年度は26年度の計画を前倒しにする形で、アメリカを中心に調査研究を実施した。 まず、アメリカ・マサチューセッツ大学での共同研究では、プロスポーツの労使関係の動向をめぐる情報・意見交換の後、研究討議を行い、MLB、NFL、NBAおよびNHLのアメリカ4大リーグにおける労使関係の変容について、特に2000年以降に焦点をあてて法律学の視点から詳細な分析を行った。また、スミス大学では、プロリーグの労使関係について経済学からの研究討議を実施した。法学および経済学双方からの分析により、ロックアウトなどの労使紛争をめぐる反トラスト法のかかわりがより鮮明になった。さらに、セントルイス大学では、大学アスリートの労組設立の動向について議論し、また同大学ロースクールにおいて日本のスポーツ事情に関する講義を行い、参加者から有意義なフィードバックを得た。 他方、韓国での調査研究では、韓国野球委員会(KBO)事務局長および韓国プロ野球選手会顧問弁護士への取材を行い、労使関係の歴史的経緯と現状の課題について、議論した。 なお、オーストラリア・ビクトリア大学とアメリカ・ノバサウスイースタン大学からそれぞれ研究者を招へいし、スポーツ文化の国際比較の観点から、労使関係、その他日本的特徴を明らかにした。また、オーストラリア・モナッシュ大学のMatt Nichol氏との共同研究において、グローバル化がもたらす、日本プロ野球界の労使関係および海外移籍制度への影響について分析し、その研究成果をまとめた(Kawai & Nichol (2014), The transfer of Japanese baseball players to major league baseball: have Japanese ball players been internationalized?, In Internationalising Japan, Discourse and practice, edited by Breaden, Steele & Stevens, Routledge, pp.180-194.)。
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