研究実績の概要 |
昨年度は、日本プロ野球における移籍制度をめぐる変遷や労使の立場について、Monash大学のMatt Nichol氏と共同研究を実施し、国際的な観点から検討を行い、日本における労使関係の特徴を明らかにし、スポーツのグローバル化に伴う社会的な見方あるいは選手自身の価値観の変化について検討した。その研究成果を、Keiji Kawai and Matt Nichol, Labor in Nippon Professional Baseball and the Future of Player Transfers to Major League Baseball, 25 Marq. Sports L. Rev. 491, pp. 491-529 (2015) にまとめた。 また、8月に1か月間、渡米し、アメリカにおける大学アスリートの労働組合組織化の動向について、マサチューセッツ大学を中心に共同研究に従事した。アメリカでは、大学スポーツのうち、アメリカンフットボールとバスケットボールをめぐって1970年代から商業化が進んでおり、プロスポーツを凌ぐビックビジネスになってきた。この流れのなかで、NLRBは学生選手の組織に対して労働組合としての認可を与え、裁判所においては、大学スポーツにおけるアマチュア規定は、大学スポーツにより収益分配を不当にするものであるとして、反トラスト法違反との判断を下した。こうした動向の背景について、スポーツ法関連の実務家、研究者への取材を実施し、かつ研究者との共同研究を実施した。なお、当該研究については、川井圭司「プロ化するアメリカ・カレッジスポーツ ―ノースウェスタン大学フットボール選手の組織化(Unionization)が意味するもの―」同志社総合政策編『総合政策科学の現在』119-137頁(晃洋書房、2016年)にまとめた。
|