本研究では、プロリーグにおける労使関係構築の経緯について、文献研究のほか、関係者、研究者、実務家への取材により、国際比較の観点で考察してきた。研究対象としたいずれの国においても、保留条項等の移籍制度の違法性が司法で争われたことをきっかけとして、労働法のもとでの団体交渉あるいは労使協議を通じて新制度が導入されることになった。同時に、労使自治、あるいはスポーツの自治が尊重され、競争法や契約法理に基づく司法の介入は抑制されるようになっていった。こうした労使関係の構築がスポーツ界における意思決定のあり方を大きく変容させた背景を明らかにした。
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