最終年度の平成27年度は、研究成果の発信に力点を置いた。具体的には、2015年8月にヨーロッパ東南アジア学会にて「東南アジアの灌漑と国家権力」という研究発表を行い、12月には京都大学における東南アジア研究コンソーシアム国際大会にて、「東南アジア灌漑における国家社会関係」という研究発表を行った。また、印刷物としては本科研の成果として以下の論文を交換することができた。
佐藤仁 「比較歴史分析の可能性-東南アジアの天然資源と国家・社会関係の比較分析に向けて」 『経済開発過程における資源環境政策研究会報告書』 アジア経済研究所、2015.8.
また現在、刊行準備中の文献としてアジア経済研究所から英文の出版物に東南アジア灌漑に関する単著論文を収録予定である。 今年度の主要な成果としては、これまで森林と土地、漁場に限定してきた研究対象を初めて水(特に農業灌漑)に拡張し、より広い観点から東南アジアの資源政策史を論じることができるようになったことである。現在、この成果を活用して英文書籍を準備中である。今後はフィールドワークの対象をさらに拡張し、資源をめぐる国家・社会関係に関する一般理論の提示を目指していきたい。
|