研究課題
基盤研究(B)
本研究は、越境大気汚染・オゾン層破壊・気候変動など、およそ大気の環境損害について、これを包括的に捉え、将来における国際法枠組みの構築を構想することにある。2013年8月、国連国際法委員会(ILC)は筆者の提案を受け入れ「大気の保護」を議題として採択、筆者をその特別報告者に指名した。また、国際法協会(ILA)「気候変動委員会」の委員長として、2013年6月、フランス・エクサンプロヴァンスにおいて委員会会合を主宰し、2014年3月には、気候変動の法的原則に関する条文草案・注釈案を取り纏めて、ILAに提出した。2013年11月にはマレーシアでアジア・アフリカ法律諮問機構(AALCO)主催のワークショップがマレーシア国立大学で行われ、「大気の保護」について講演し、各国の専門家から貴重な助言を得ルことが出来た。こうして、当初の研究目的に照らして、予想以上の実績を上げることが出来ていると考えている。気候変動の実態調査のため、2014年1月にパラオを訪問、同国大統領・国務大臣・上院議員等と面談し、同国がILCにおける筆者担当の議題について国際的に支持を表明することを依頼したのに対し、大統領はその趣旨に従い、国連総会および島嶼国フォーラムでの演説等で支持表明することを確約、同国上院でも決議を行うことを考慮するとの好意的回答を得た。また同年1月には、ハーグおよびストックホルムを訪問し、ハーグ国際法アカデミーの関係者と意見交換するとともに、スエーデン環境研究所および環境省の関係者と面談し、筆者がILCに提出する「大気の保護に関する第1報告書」案の内容について詳しく検討する機会を得た。同年2月には中国・上海および北京を訪問し、中国の専門家と、同国で深刻な問題となっている大気汚染への対応について意見交換した。
1: 当初の計画以上に進展している
ILCの特別報告者に指名されたこと、その「第1報告書」を提出できたこと、ILA気候変動委員会の最終報告書をまとめることが出来たこと、各国の専門家との緊密なネットワークを構築できたことなど。
来年度中にILCに提出する「第2報告書」を執筆することが最大の目標である。「大気の国際法」の一層の発展・深化を模索するため、各国の研究者との共同研究・意見交換を推進する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)
Washington Conference of the International Law Association
巻: 76th Conference ページ: 1-39
国際法外交雑誌
巻: 112巻 ページ: 1-29