本研究は、2000年代後半以降の中国の文化外交の展開をふまえ、ASEAN諸国のうちタイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム、カンボジア、ミャンマー7カ国における中国の文化外交の実態とその影響について現地研究者の協力を得て調査した。とくに「孔子学院」開設をめぐる背景や運営とその影響等を検討した。総括として、これらの諸国では「孔子学院」の制度化の状況も受講生の属性も異なり、受講者数ではタイやフィリピンを除き盛況とはいえないが、マレーシアの場合は組織横断的に活動している。「孔子学院」とは別に、中国の文化外交は地方政府を含め多面的に進展しており、若い世代に肯定的な対中認識が醸成されている。
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