研究概要 |
本研究は、インドの日系企業の経営行動を視野に入れながら、インドにおける産業発展の実態を明らかにすることを目的としている。①研究業績として特記しておきたいのは、つぎの2論文である。(1) Atsushi Kato and Takahiro Sato, ``The Effect of Corruption on the Manufacturing Sector in India,'' Economics of Governance, 15(2), pp. 155-178, May 2014. (2) Atsushi Kato and Takahiro Sato, ``Threats to Property Rights,'' Journal of Asian Economics, 26, pp.65-81, June 2013. 論文(1)では腐敗が、論文(2)では財産権の侵害が、インド製造業の生産性にいかなる影響を与えるのかを定量的に分析した。両論文では、腐敗や財産権侵害が、有意にかつ無視できないほどの大きさで生産性を低めることを明らかにした。同系列の論文として、Atsushi Kato and Takahiro Sato, ``Greasing the Wheels? The Effect of Corruption in Regulated Manufacturing Sectors of India,'' RIEB Discussion Paper Series, DP2014-07, 37pp. March 2014を執筆し、海外学術雑誌に投稿した。代表研究者はこの他、外国直接投資がインド製造業の生産性に与える影響を定量的に分析した論文や近年のインド経済全般を分析した論文を執筆した。代表以外にも、分担研究者や連携研究者も複数の研究論文や図書を執筆している(研究テーマとしては、インド経済全般、バングラデシュの縫製業と日系企業、インド工業の経済地理、インド製薬産業)。 ②インドの日系企業約700社に対してアンケート調査を実施し、約100社から回答を得た。 ③日本で2回(いずれも神戸大学)、インドで1回(デリーの国際交流基金)、研究会を開催した。さらに、代表が2回、分担研究者が2回(いずれも、デリー、タミルナード州、AP州)、連携研究者が2回(上記諸州に加えて、マハラシトラ州)、インド現地調査を行った。
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