研究課題/領域番号 |
25301023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
橘 永久 千葉大学, 法経学部, 教授 (70301017)
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研究分担者 |
櫻井 武司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40343769)
島田 沢彦 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (90349811)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ネパール / 共有林 / 健康 / 再調査 |
研究概要 |
2013年7月: 国際食糧政策研究所 (IFPRI) の森林測定データを再検証し、データに欠落がある2つの森林を調査対象から外すこととした。調査対象林は111となった。 9月:申請者が8日から27日まで、分担者1名が17日から29日まで、予備調査を実施した。19日までは、Mid-Western Region において、前回調査時点では道路からのアクセスが悪かった森を中心に予備調査を実施した。その後は、Central Regionに移動した。主な作業は、社会調査の質問票を、前回調査からの変化にあわせて改定することであった。結果、a) IFPRI調査後に建設された道路の状態、b) 森林管理組合の組合員資格要件の2点を中心に質問票を改定することにした。調査の前後にカトマンズで関係省庁を訪問し、調査対象林の航空写真撮影の意義と可能性を検証した。結果、i) 2000年時点の衛星写真の活用が有望であること、ii) 予算制約、の2点から航空写真の新規撮影は断念することとした。 2014年2月: 10日から24日にかけて、申請者が、Syangja県 Waling Municipality、Tanahun県 Manpang VDC 、Gorkha県 Choprak VDC内の計6カ村で現地調査を実施した。IFPRIが、1982年に、同地の120家計を対象に実施した、森林資源利用者の健康状態と土地利用に関する家計調査の再調査である。32年後の再調査であったが、半数以上は当時の回答者、またはその相続人を対象とすることができた。追跡不可能な家計は、村内の別家計をサンプルしなおした。申請者の帰国後、英国ケンブリッジ大学の研究者(形質人類学)が別予算で調査地に入り、調査対象家計全員の身長・体重・血圧測定を実施した。3月末に調査が終了したばかりで、健康データを含め、データの入力・整備にこれから取り組むところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遅れている部分 2013年9月から開始する予定であった111林の森林測定・社会調査本調査を、2014年9月に先送りした。主な理由は、前回調査時点(1997-2000年)では皆無に近い状態であった天然林の資源測定方法が幾つか新たに提案されていることが分かり、前回の森林調査法をそのまま踏襲するか、それとも新たな計測法のどの部分を採用すべきか、森林測定の専門家を交えて詳細に検討する必要が生じた為である。 予定以上に進展した部分 西部地区6カ村(8森林)の120家計を対象とした家計調査を、年度内に完了させることができた。新たな研究協力者の参加も得、対象家計全員の身長・体重・血圧測定も実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
天然林に関する森林資源計測法の再検証を最優先課題とする。9月の予備調査段階で、我々が採用を予定していた森林測定法(前回のIFPRIデータ作成時の方法)に対する疑念が、ネパールの林学専門家数名から出された。彼らは、デンマーク等、各国の大学・援助機関が2006年以降にネパールで実施した森林調査に参加した経験があり、本研究の森林測定法が、現行の専門分野の基準では不十分なものであるとした。こうしたネパールの林学専門家が挙げる主な問題点は、森林内の資源計測プロットの位置決定方法とサンプル数である。ただ、彼らが参加した森林計測は最多でも数か所の森林を対象としたものであり、森林管理方法の有効性・効率性を検証するために100以上の森林を対象とする我々の研究とは、質的にかなり異なる面がある。予算制約のもと、林学の専門家からも是認されるような森林資源計測法を検証する。 社会調査の質問票改訂は大筋終えており、9月からの本調査実施に問題はない。航空写真の購入・整備も終えた。航空写真に関しては、デジタル化するために、現地研究協力者が徐々にスキャンすることで合意した。
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次年度の研究費の使用計画 |
森林資源測定方法を再検証する必要が生じたことから、平成25年度の作業を、予備調査と西部地区6か村における1982年IFPRI家計調査の再調査にとどめた為である。しかしながら、111森林の調査時期の幅が最大でも平成26年・27年度の2年間に抑えられることにもなり、却ってより精度の高いデータの作成が可能になった。 すべての予算を、111森林の森林資源測定と関連する社会調査に割り当てる。本調査は、平成26年9月から実施する。
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