研究課題/領域番号 |
25301025
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福井 清一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90134197)
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研究分担者 |
駿河 輝和 神戸大学, その他の研究科, 教授 (90112002)
加賀爪 優 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20101248)
川端 眞人 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30175294)
高篠 仁奈 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80507145)
MAHARJAN K.・L. 広島大学, その他の研究科, 教授 (60229599)
三重野 文晴 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (40272786)
三輪 加奈 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (00552001)
矢倉 研二郎 阪南大学, 経済学部, 准教授 (20454647)
山崎 幸治 神戸大学, その他の研究科, 教授 (30319818)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 小口保険制度 / 行動実験 / クラウディング・アウト効果 / 貧困緩和 / 時間選好 |
研究概要 |
当初予定していたランダム化フィールド実験の実施は、予算が大幅にカットされたため困難と判断し、後半の小口保険ゲームによる、フォーマルな保険制度の導入とインフォーマルな保険制度との相互連関についての分析を中心に調査研究を行うことにした。 このため、平成25年度は、まず、インド、西ベンガル州、カンボジア、タケオ州の医療機関の医療サービスについての聞き取り調査を実施した。インドについては、西ベンガル州の地方政府、保健所、病院等を訪問し、保健・医療の実態を視察し、情報を収集した。カンボジアについては、保健省をとおして了承を取り付け、川端、矢倉、福井が、タケオ州の病院、保健所、NGO事務所において、担当の医師、看護師、薬剤師などから聞き取り調査を実施した。 また、インド、西ベンガル州、ナディア郡では、500世帯の標本家計を抽出し、家計調査と籤引ゲーム、時間選好ゲームによるリスク回避度、時間割引率の測定を行った。 収集したデータは、現在、大学院生を雇用し、コンピュータ入力を行っている。 カンボジアについては、すでに、京都大学コア・バックステイジ・プログラムによる助成金で実施した同様の調査結果がコンピュータ入力済みなので、これを用いた分析作業を行い、小口健康保険制度とインフォーマル保険制度のトレード・オフ、保険制度の効果、および、参加決定因について、記述分析と計量分析を行い、6月の国際開発学会で報告することになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最終目標は、インド、カンボジアにおいて、フォーマルな保険制度の導入と既存のインフォーマルな保険制度(無利子融資、相互贈与、共同体的互助慣行)とのトレード・オフ関係を行動実験の手法を援用して解明すること、貧困層が小口健康保険制度に加入する決定因を、社会構造(カースト制度など)、リスク選好、時間選好などの要素を考慮に入れて明らかにすること、および、小口健康保険制度とインフォーマル保険制度の健康への総合的効果を推計することである。カンボジアについては、データの収集がほぼ完了、インドについては、平成26年度に完了する予定であり、目標の達成は十分可能と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、インドにおいて、さらに200世帯の家計調査を実施し、計700世帯を対象に、小口保険ゲームを実施する。これにより収集されたデータを用いて計量経済学的な分析を行うことにより、研究の目的である、フォーマルな保険制度の導入と既存のインフォーマルな保険制度とのトレード・オフ関係を解明すること、貧困層が小口健康保険制度に加入する決定因を、社会構造、リスク選好、時間選好などの要素を考慮に入れて明らかにすること、および、小口健康保険制度とインフォーマル保険制度の健康への総合的効果を推計することが、インドにおいても可能になると期待している。
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次年度の研究費の使用計画 |
インドにおける農村調査の予定が、総選挙の混乱のため、一部、次年度6月に延期されたことにより、福井、マハラジャンが基金を繰り越したこと、および、研究分担者の三輪、山崎が在外研究のため、次年度以降に基金を繰り越したことによる。 一部は、今年度6月に実施するインドでの農村調査で、福井、マハラジャン、高篠、山崎が使用する。また、その他については、今年度、2月に実施するカンボジアでの調査で、三輪が使用する予定である。
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