研究課題/領域番号 |
25301045
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横山 悦生 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (40210629)
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研究分担者 |
篠田 武司 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20115405)
本所 恵 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (80632835)
三宅 章介 東海学園大学, 経営学部, 教授 (80200137)
沼口 博 大東文化大学, 文学部, 教授 (80102193)
石原 俊時 東京大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70221760)
田中 卓也 共栄大学, 教育学部, 准教授 (90435040)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 徒弟教育 / 職業教育 / スウェーデン / ノルウェー / フィンランド / 職業訓練 / 北欧 / 成人教育 |
研究概要 |
北欧における職業教育・訓練と学校教育との連携、結合関係を明らかにするために、関係機関を訪問し、実態調査を実施することを目的とした。 ・スウェーデン、Kristianstads kommun訪問, La:rling Akademi, VLC(Va:glednings-och La:rcentrum)の見学。・StockholmにあるSkolinspektionを訪問。徒弟教育について聞き取り。Stockholmにある職業高等教育機関(Yrkes hogskolan )を訪問(Lernuia)・Goteborg universityにあるYrkeskunnande centrumを訪問。・Malmoe市のLerniaを訪問・見学(成人教育における職業訓練の現場)。・Ha:sselholmにあるMYH(Swedish National Agency for Higher Vocational Education )を訪問。職業高等教育制度の概要と実施状況について調査。Yrkes hogskolan SYD(高校に併設されている現場)を訪問。・BaalangeにあるHushagsgymnasietを訪問。APL(15週間の現場実習)に取組みや実習先の溶接工場を見学。・StenungsundにあるNo:sna:s高校の徒弟教育の現場を訪問。 ・フィンランド、HAAGA=HELIAを訪問し、職業教員養成について聞き取り。ヘルシンキ市教育委員会徒弟教育部及び付属工場を訪問。National Board of Educationを訪問。職業教育・訓練担当のPasi Kankare氏に職業教育・訓練制度についての概要の説明を聞く。 ・ノルウェー、オスロにあるFAFOを訪問して、ノルウェーの職業教育訓練制度の概要について調査。徒弟教育の現場を見学 Bjornholt skolan(オスロ)を訪問。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、横山がスウェーデンのルンド大学に客員研究員として2ケ月半滞在した。その間に、研究実績の概要に記したような、スウェーデンを中心として、多くの学校や教育行政機関などを訪問することができた。また、共同研究者や連携研究者とともにスウェーデン、フィンランド、ノルウェーの徒弟教育の現場や教育行政機関を訪問することができた。スウェーデンについては、教育行政機関(Skolverket)が出しているレポートを分析することによって、高校の徒弟教育は2008年からの試行、2011年からの本格的実施もさまざまな問題を抱えることになっていることがわかった。職業高等教育機関に関しては、労働市場との対応関係を基盤にしていることもあり、順調に発展していることも判明した。成人教育の分野の徒弟教育はまだ始まったばかりであるが、高校徒弟教育と比較すると問題はまだ少ないこともわかった。ノルウェーについては、高校徒弟教育は1990年代から、あるいはそれ以前からも取り組まれており、その経験の蓄積があることがわかった。ノルウェーとスウェーデンは、徒弟という制度を一度廃止した経緯をもち、それとは対照的な国がフィンランドとデンマークであることもわかった。これらの両国では徒弟制度は廃止されていない点で共通点を有することがわかった。ただ、これらの詳細については、今後の課題として残されている。総じて、1年目の研究成果は、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの徒弟教育をめぐる制度の特徴を大まかに把握できたというところである。実際に訪問するまでは、予想できなかったことが多く、1年目の研究成果としてはおおむね順調に進展していると評価されよう。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、スウェーデンとフィンランドから徒弟教育の実施した経験を持つ、行政機関の担当者を招へいして、その経験を報告していただき、日本における日本版デュアルシステムを実施した経験もあわせて報告していただき、共同研究者や連携研究者を中心に議論する国際会議を5月5,6日に開催する。昨年度に蓄積した調査の結果と比較することにより徒弟教育を実施する上での問題の所在を明確化する予定である。 スウェーデンについては、2013年10月には、スウェーデンの教育行政機関(skolverket)から徒弟教育に関する報告書が出されており、これを分析することにより、さらにスェーデンの抱える徒弟教育実施上の課題を鮮明にする。また、26年度は、労働組合や経営者団体の徒弟教育に対する政策や見解を明らかにするために、訪問し、聞き取り調査を実施する。ノルウェーについては、25年度の調査で入手した研究者の徒弟教育に関する博士論文を翻訳し、報告書としてまとめる。 フィンランドについては、国際会議で招へいしたサリ氏からの聞き取り調査により、徒弟教育の問題点などを明確化する。 デンマークについては、連携研究者の嶋内氏に加えて、菅沼隆教授(立教大学)を連携研究者に加え、体制を補強する。
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