研究概要 |
本研究の目的は、中国、韓国、そして日本での子育て中の母親・父親への調査を通じて、家族の育児不安やストレスを低減し、そのQOL(生活の質)を高めるには、どのような子育て支援及びソーシャルサポート(社会的支援)が必要であるかということを明らかにすることである。特に子育て中の母親だけでなく、父親も調査の対象にすることで、母親の不安やストレスの軽減に通じる支援について夫婦の間での心理的な依存関係も踏まえ明らかにする点で意義がある。日本、中国、韓国の国際比較の視点から検討された適切な支援が実行されることで、身体的虐待やネグレクト、そして貧困から生じるストレスといった家族の一般的な問題を解決することに寄与するものと考える。本年度は、中国北京市在住の子育てをする親(父親90名、母親90名)を対象に、どのような子育てニーズを有しているのか、そのニーズは現在家族が置かれている状況、例えば、保育所幼稚園から小学校への接続期、教育支援、社会保障などによってどのように変化するのか、について量的な調査を実施した。調査内容については、子育てにかかわる社会的支援についてその要因は複合的であるため、そこでこれまでの研究において妥当性や信頼性、内的整合性などが確認された下記の質問方法を再考し、北京師範大学、ソウル神学大学の連携協力者と共同して対象者に負担のない簡便なものとして作成した。1.Family Support Scale (Dunst, Jenkins, & Trivette, 1984) 2.Inventory of Social Support Behavior (Barrera, Sandler, Ramsay, 1981)、3.Parenting Stress Index (Abidin, 1983)、4.Quality of Life Inventory (Frisch, 1998)5.Sense of Coherence Scale (Antonovsky, 1987)
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