研究課題
本研究の目的は、日米欧の国際研究チームでスウェーデンからPolarized Gamma-ray Observer (PoGOLite)気球を打ち上げ、硬X線帯域において天体からの本格的な偏光観測を実施することと、将来の望遠鏡と組み合わせた高感度観測を実現するために、焦点面に置いく偏光計をスウェーデンチームと共同で開発することである。今年度は、2016年夏にスウェーデン・キルナにあるEsrange気球実験場から再度PoGOLite気球を打ち上げる可能性が高まったため、前回の2013年のフライト時から検出器に改良を加えるべくPoGOLiteチーム内で様々な基礎実験が行われた。その中で、我々は高速中性子の非弾性散乱に起因したバックグランドを除去できるよう、読み出し回路の高速化を担当した。以前のチーム内での実験から、ガンマ線と高速中性子の信号は70MHz以上のADCサンプリングレートがあれば、80%のガンマ線信号を保ったまま80%の中性子バックグランドを除去できるという見積もりがある。そこで我々は、従来の37.5MHzのサンプリングレートを、現状の8チャンネル入力を同時処理できるADCでもっとも高速な部類にあたる100MHzでサンプリングできる目途を立てた。またADCサンプリングの前段にあるアナログ回路についても、100MHzのサンプリングに最適な状況になるよう、あらためて回路パラメータを見直しも実施した。
2: おおむね順調に進展している
2016年のPoGOLiteの再フライトへ向け、担当している読み出し回路の高速化に目途を付けることができた。
2015年度は、これまでの基礎実験で得た回路パラメータから、実際に読み出し回路を製作する。完成した回路は、スウェーデンへ持ち込み検出部と組み合わせて、1つの検出器として動作するように完成させる。またスペアの回路を利用し、実際にガンマ線と高速中性子を地上で照射することで、両者の弁別の精度を検証する。
2016年度にPoGOLite気球の再フライトを実施する可能性が高くなり、そのために改良した読み出し回路を作成する予定のため、一部予算を次年度にまわすこととしたため
2015年度に改良した読み出し回路を作成するために利用する計画である
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 1件)
Astronomy & Astrophysics
巻: 577 ページ: A100 1-6
10.1051/0004-6361/201525726
The Astrophysical Journal
巻: 803 ページ: 74 1-9
10.1088/0004-637X/803/2/74
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 770 ページ: 68-75
10.1016/j.nima.2014.10.016
巻: 795 ページ: 119 1-12
10.1088/0004-637X/795/2/119