研究課題/領域番号 |
25302005
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
大矢 浩代 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助手 (00241943)
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研究分担者 |
高橋 幸弘 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50236329)
土屋 史紀 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10302077)
山下 幸三 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (20609911)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 超高層物理学 / 電離圏 / 雷放電 |
研究概要 |
2013年12月に,ハノイ(ベトナム)にVLF/ELF観測機器を新設し,東南アジアに5観測点,観測ネットワークを構築完了した。既設の台湾,タイ,インドネシア,およびフィリピンの観測点では自動定常観測し,データを蓄積している。2013年度はメインアンプのインピーダンス不整合を解消するために,5観測点全部のメインアンプにバッファ回路を付加した。またタイ・サラブリ局のメンテナンスを実施し、交流安定化電源・耐雷トランスを設置する事より観測の安定化を図った。~10 kHzの水平磁場2成分の観測データのデータベース化の作業を開始し,IUGONETに登録する準備を行った。各観測データから,下記の解析を実施した。 1 AVONで観測されたtweek空電の水平伝搬距離を自動推定し,3観測点以上の推定値から雷の位置推定を試みた。 2 Elvesに伴い発生した下部電離圏擾乱を標準電波により調査し、ELF帯磁場観測から得られる落雷の電荷モーメントと比較した。比較数が十分ではないものの、両者には正相関の傾向がみられた。今後、統計解析を実施する。 3 AVONの水平磁場2成分および垂直電場1成分の波形取得を実施する共に,落雷信号の解析アルゴリズムを開発した。多点観測データを用いた雷位置・極性の推定に加え、観測点近傍(<200km)における落雷のピーク電流や電気的規模の導出を可能とした。 これらの観測で得られた成果を国内外の学会や研究会で発表し、共同研究を推進した。また観測機器の小型化について検討を行った。東南アジアとの海外共同研究を進めるため,capacity buildingを計画し,動画配信による講義および現地での講習会等について準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり,2013年12月にベトナムに観測機器を新設することができた。これで,東南アジアに5観測地点のネットワークを構築することができた。これらの観測から,tweek, long recovery event, および雷起源の空電が観測されており,現在その自動解析プログラムの開発および解析を進めているところである。これらのことから,本研究計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定どおり,2014年度にはデータ解析に主眼を置き,雷放電に伴い発生する電磁パルス(EMP)等がD領域・下部E領域電離圏電子密度に及ぼす影響を実証的かつ定量的に明らかにする。東南アジア5観測地点での自動定常観測を維持・継続し,データの蓄積を図るとともに,得られたデータをデータベース化して,海外の関連研究者と共同研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
科学研究費補助金は全額使用したが,学術研究助成基金助成金に次年度使用額が生じた。その理由は,2013年度にハノイ(ベトナム)に観測機器を新設するため,その他の経費の海外観測施設使用料および観測機器の海外輸送代を想定していたが,実際には,施設使用料は発生せず,光熱費・インターネット代も安く済んだ。また観測機器の輸送代を想定していたが,実際には関税等手続きの関係で輸送できず,研究代表者および共同研究者が出張時にハンドキャリーで持参したため,航空機の荷物超過料のみですんだため,未使用額が生じてしまった。 次年度使用額と翌年分として請求した研究費と合わせて,主に外国旅費に使用する。東南アジア5観測点(台湾,タイ,インドネシア,フィリピンおよびベトナム)は、現地の大学、研究機関の協力のもと、運用が行われている。これらの観測点での観測を継続すると伴に、1年に1回出張し、観測機器のメンテナンスおよび観測データの回収を実施する。平成25年12月から,フィリピンおよびベトナムの観測状況がインターネットによる遠隔操作モニタリングで状況把握できなくなった。今年度中に,現地に出張し,このトラブルの原因を調査し修理する。
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