研究課題/領域番号 |
25302011
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
安藤 寿男 茨城大学, 理学部, 教授 (50176020)
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研究分担者 |
長谷川 精 名古屋大学, 博物館, 特任准教授 (80551605)
太田 亨 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (40409610)
山本 正伸 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (60332475)
長谷部 徳子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (60272944)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 白亜紀 / モンゴル / 古気候 / 古環境変動 / 湖成堆積物 / 陸成層 / 湿潤化 / 温室地球 |
研究実績の概要 |
研究開始に当たり,本研究の中心となるモンゴルゴビ砂漠でのボーリング掘削調査実施のための打ち合わせを4月に,掘削地や業者選定を6月までに行った.掘削に関わる許可申請や掘削会社との作業打ち合わせは,ウランバートル市内にある名古屋大学フィールドリサーチセンター(FRC)に駐在する分担者の長谷川精が,モンゴル科学アカデミー古生物センターのIchinnorov博士とともに7月に実施した.ボーリング掘削および周辺地域の現地調査には, 8月下旬に安藤寿男,長谷川精,太田亨らが参加し,Ichinnorov博士が現地の手配を行った.そして,ウランバートルから約450km南東のゴビ砂漠東部シネフダグ地域において,シネフダグ層上部で全長150mのコア1本を取得することができた.現地では掘削作業中に平行してコア観察作業を進め,周囲の露頭調査結果を含めて詳細な岩相・堆積相層序を把握することができた. 現地調査およびボーリング掘削後は,掘削コア試料をFRCに運搬し,FRC内にて掘削コアの半割処理をして,一方をFRCに保管し,もう一方を各種分析試料として用いるため日本へ輸送した.試料の到着は12月末になったため,試料の処理,分析に取りかかれたのは1月以降になった.有機物のδ13C,バイオマーカー組成, C/N比測定,有機化学的指標(TEX86)による湖水温測定,無機化学分析(XRF,XRDによる主要元素,粘土鉱物組成),介在する凝灰岩中のジルコンのFTおよびU/Pb年代測定を年度末になってから開始した.花粉,カイエビ,貝形虫の化石解析についてもそれぞれの担当者が産出層序の検討を始めた.今後は古気温,湖水位(降水量),化学風化度,古植生などの古環境変動指標の復元に向けて,それに見合う年代推定を進める. これらの成果の一部はIGCP608国際シンポジウムや日本地質学会等で概要を報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボーリング掘削は当初,対象とする白亜紀前期湖成層の地層記録を最も長く連続的かつ不攪乱で取得するために,2013年度のうちにコア3本(計350m)で,OAE1a層準を含む全層厚300mの試料を採取することを目標とした.しかし,実際には長さ150mが得られたにすぎない.それでもシネフダグ層の上部~中部を連続的に掘削した,非常に貴重な試料で,これまでの地表調査で得た試料に比べ,風化を受けておらずはるかに保存条件がよい.研究目的とした,コア試料からの岩相解析や周期解析や,無機化学・有機化学分析を行うには条件を満たしている.また,今後の研究継続には支障のない量を得られており,分析深度間隔を密にすることで,精度を高めて解析することも可能である.
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今後の研究の推進方策 |
2013年掘削の全長150mのコアと,現地調査で採集した岩石・化石試料を有効に利用して各種分析を今後さらに進めていく. 一方,シネフダグ層全体を掘削してより長いコアを得ることで,より長期間の白亜紀古環境変動を復元するという研究計画の目標を達成するために,2013年度に掘削したコアの上下の層準のボーリング掘削調査を,2014年夏に改めて行う.2013年度は科研費採択から掘削作業までの期間が短かったため,2014年度は2013年度の成果や経緯を参考に,技術的な実績や現実性を考慮して,慎重な準備を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
2013年8月下旬のボーリング掘削調査では,首都ウランバートルから450kmの最も近い町からでも70kmも離れた,殆ど無人の過酷なゴビ砂漠の中での作業に加え,天候・業者の技術・作業の進行状況,そして研究者の滞在日程等を総合して,長さ150mの1本で堀止として本年度掘削作業を終了した.そのため,予定の長さのコアを得ることができず,次年度に再度掘削調査を行う必要が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
技術的・経費的な実績や現実性を考慮して,次年度の掘削調査に向けて新たに別の業者を探すことを予定している.その際には,特にリグの安定性やその給電・給水設備,それらの重量機器の移動手段としてのトラックなどの状況なども評価しておく必要を考えている. そのため,予定よりも現地調査の期間が長くなるため,2013度の補助金の旅費分等を2014年度に繰り越すことで対応できるようにした.
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