島弧深部の成熟過程解明に向けて：青年期から成人期のモホ面近傍の現場検証

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25302012
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 応募区分: 海外学術
• 研究機関: 金沢大学
• 研究代表者: 森下 知晃 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (80334746)
• 研究分担者: 鈴木 勝彦 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, チームリーダー (70251329) ; 芳川 雅子 京都大学, 理学研究科, 教務補佐員 (00378605) ; 石川 晃 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (20524507) ; 谷 健一郎 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 技術研究副主任 (70359206)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 島弧深部プロセス / 島弧火成活動 / 上部マントル / 下部地殻 / オフィオライト

研究概要

本研究は、陸上に露出した過去の島弧深部起源のオフィオライト、オフィオライト様岩石群の複数地域の研究と比較を行い、プレートの沈み込みによる島弧形成から、島弧が成熟していく際の特に、島弧深部物質の壊変プロセスに特化した研究内容である。
初年度は、これまで採取して来たオフィオライト（アルバニア　ミルディータオフィオライトやインド　アンダマン島）などを中心に解析を行うと伴に、より、島弧成熟過程が進行していると作業仮説をたてているアラスカ　タルキートナ岩体の調査を新たに開始した。
これらの結果から，上部マントル物質に関しては、（１）メルト成分に枯渇したかんらん岩類が卓越、（２）それらの岩石に、様々な輝岩類が付加する関係　にあることが共通事項であることが示唆される結果となった。　下部地殻相当物質に関しては、より島弧成熟がすすんでいると予想されるタルキートナ岩体には、確かに、より高圧で形成されうる鉱物組み合わせが見られることを確認した。　一報で、タルキートナ岩体においては、特に輝石成分の付加がより多く観察される傾向にある。　よりシリカに富む火山活動で特徴付けられる島弧火成活動と、島弧深部の発達が関連している可能性を示す貴重な試料になりえると考えるにいたった。
また、タルキートナ岩体研究において先行しているコロンビア大学Peter Kelemen氏を訪問し、彼らがもっている試料、データについて意見交換を行った。その結果、これまで採取された試料を自由に用いた共同研究を行う方向で検討をすすめている。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予想以上に、タルキートナ岩体の調査に時間がかかることを実感した。そのため、予定していた調査地域をすべてカバーすることができなかった。来年度以降の調査計画を注意深く決定する必要がある。

今後の研究の推進方策

調査対象地域においてアクセスが困難な地域はヘリコプターなどの輸送方法を利用して効率よく調査計画を決める必要がある。また，コロンビア大学の試料を積極的に利用し、先に、彼らの試料を解析することで、より調査対象地域をピンポイントに絞り込む作業を行う。
分析に関しては、分析に適した試料を採取することで対応する。

次年度の研究費の使用計画

タルキートナ岩体の調査に時間がかかり、予定していた調査地域をすべてカバーすることができなかったため、消耗品、旅費に未使用額が生じた
２６年度交付される経費と合わせて、試料の分析にかかる消耗品費、旅費等に充てる予定である

研究成果

• [雑誌論文] Izu-Bonin-Mariana fore-arc crust as a modern ophiolite analogue (2014)
  • 著者名/発表者名: Ishizuka O., Tani K., & Reagan M.K.
  • 雑誌名: Elements 巻: 10 ページ: 115-120
  • DOI: 10.2113/gselements.10.2.115
  • 査読あり
• [雑誌論文] Peridotite and pyroxenite xenoliths from Tarim, NW China: Evidences for melt depletion and mantle refertilization in the mantle source region of the Tarim flood basalt (2014)
  • 著者名/発表者名: Mi-Mi Chen, Wei Tian, Katsuhiko Suzuki, M.-L.-G. Tejada, Feng-Lin Liu, Ryoko Senda, Chun-Jing Wei, Bin Chen, Zhu-Yin Chu
  • 雑誌名: Lithos 巻: in press ページ: in press
  • DOI: 10.1016/j.lithos.2014.01.005
  • 査読あり
• [雑誌論文] Primary melt from Sannome-gata volcano, NE Japan arc: constraints on generation conditions of rear-arc magmas (2014)
  • 著者名/発表者名: Primary melt from Sannome-gata volcano, NE Japan arc: constraints on generation conditions of rear-arc magmas
  • 雑誌名: Contributions to Mineralogy and Petrology 巻: 167 ページ: 1-18
  • DOI: 10.1007/s00410-014-0969-7
  • 査読あり
• [雑誌論文] Grain-scale plastic deformation of chromite from podiform chromitite of the Naga-Manipur ophiolite belt, India: Implication to mantle dynamics (2014)
  • 著者名/発表者名: Ghosh, B., Ray, J., Morishita, T.,
  • 雑誌名: Ore Geology Reviews 巻: 56 ページ: 199-208
  • DOI: 10.1016/j.oregeorev.2013.09.001
  • 査読あり
• [雑誌論文] Cryptic lower crustal signature in the source of the Ontong Java Plateau revealed by Os and Hf isotopes (2013)
  • 著者名/発表者名: M L G Tejada, K Suzuki, T Hanyu, J J Mahoney, A Ishikawa, Y Tatsumi, Q Chang, S Nakai
  • 雑誌名: Earth and Planetary Science Letters 巻: 377-378 ページ: 84-96
  • DOI: 10.1016/j.epsl.2013.07.022
  • 査読あり
• [雑誌論文] Geochemical diversity in submarine HIMU basalts from Austral Islands, French Polynesia (2013)
  • 著者名/発表者名: Takeshi Hanyu, Laure Dosso, Osamu Ishizuka, Kenichiro Tani, Barry B. Hanan, Claudia Adam, Shun’ichi Nakai, Ryoko Senda, Qing Chang, Yoshiyuki Tatsumi
  • 雑誌名: Contributions to Mineralogy and Petrology 巻: 155 ページ: 1285-1304
  • DOI: 10.1007/s00410-013-0926-x
  • 査読あり
• [雑誌論文] The earliest mantle fabrics formed during subduction zone infancy (2013)
  • 著者名/発表者名: Harigane, Y., Michibayashi, K., Morishita, T., Tani, K., Dick, H.J.B., Ishizuka O.
  • 雑誌名: Earth and Planetary Science Letters 巻: 377-378 ページ: 106-113
  • DOI: 10.1016/j.epsl.2013.06.031
  • 査読あり
• [雑誌論文] オフィオライトから推定するかんらん岩の島弧成熟過程 (2013)
  • 著者名/発表者名: 森下知晃
  • 雑誌名: 岩石鉱物科学 巻: 42 ページ: 258-257
  • DOI: 10.2465/gkk.120903
  • 査読あり
• [雑誌論文] 海洋コアコンプレックスから得られたかんらん岩の重要性：中央海嶺下マントルの不均質性とメルトの存在 (2013)
  • 著者名/発表者名: 田村明弘・森下知晃・荒井章司
  • 雑誌名: 岩石鉱物科学 巻: 42 ページ: 221-233
  • DOI: 10.2465/gkk.120618
  • 査読あり
• [雑誌論文] Petrology of peridotite xenolith-bearing basaltic to andesitic lavas from the Shiribeshi Seamount, off northwestern Hokkaido, the Sea of Japan (2013)
  • 著者名/発表者名: Ichiyama, Y., Morishita, T., Tamura, A., Arai, S.
  • 雑誌名: Journal of Asian Earth Sciences 巻: 76 ページ: 48-58
  • DOI: 10.1016/j.jseaes.2013.07.031
  • 査読あり
• [雑誌論文] Significance of chromian spinels from the mantle sequence of the Andaman Ophiolite, India: Paleogeodynamic implications (2013)
  • 著者名/発表者名: Ghosh, B., Morishita, T., Bhatta, K.
  • 雑誌名: Lithos 巻: 164-167 ページ: 86-96
  • DOI: 10.1016/j.lithos.2012.08.004
  • 査読あり
• [学会発表] The earliest mantle fabrics formed during subduction zone infancy (2013)
  • 著者名/発表者名: 針金由美子、道林克禎、森下知晃、Henry, J. B. Dick, 石塚治
  • 学会等名: American Geophysical Union
  • 発表場所: San Francisco, USA
  • 年月日: 20131209-20131213
• [学会発表] Gondwana subduction-modified mantle domain prevents magmatic seafloor generation in the Central Indian Ridge (2013)
  • 著者名/発表者名: Morishita, T., Nakamura, K., Senda, R., Suzuki, K., Kumagai, H., Sato, H., Sato, T., Shibuya, T., Minoguchi, K., Okino, K
  • 学会等名: American Geophysical Union
  • 発表場所: San Francisco, USA
  • 年月日: 20131209-20131213
• [学会発表] Petrology of peridotites in the southern part of the Central Indian Ridge: Implications for ocean floor formation (2013)
  • 著者名/発表者名: Morishita, T., Senda, R., Nakamura, K., Suzuki, K., Kumagai, H., Sato, H., Okino, K.
  • 学会等名: 地球惑星関連連合大会
  • 発表場所: 幕張，千葉
  • 年月日: 20130513-20130519
• [学会発表] アルバニア，ミルディータオフィオライト西帯かんらん岩の岩石学：斜長石かんらん岩の起源 (2013)
  • 著者名/発表者名: 稲村征之, 森下知晃，田村明弘，Yildirim DILEK
  • 学会等名: 地球惑星関連連合大会
  • 発表場所: 幕張，千葉
  • 年月日: 20130513-20130519
• [図書] Subseafloor Biosphere Linked to Hydrothermal Systems: TAIGA Concept (2014)
  • 著者名/発表者名: Petrology of peridotites and related gabbroic rocks around the Kairei hydrothermal field in the Central Indian Ridge
  • 総ページ数: in press
  • 出版者: Morishita, T., Nakamura, K.., Shibuya, T., Kumagai, H., Sato, T., Okino, K., Sato, H., Nauchi, R., Hara, K. and Takamaru, R.