研究課題
島弧形成初期の火成活動の記録:これまで採取してきたアルバニア試料の解析を進め、アルバニア地域に広く分布するオフィオライトのうち、西部地域は中央海嶺で期待される特徴を有していることが明らかになってきた。一方、東部地域はやはり、これまで明らかにしてきたように、島弧初期の火成活動の記録が、マントル相当のかんらん岩体および、その直上ーモホ面相当の輝岩類、はんれい岩類、それらに貫入する苦鉄質ー超苦鉄質岩類にも残っていることが明らかとなってきた。島弧成熟期の記録:アラスカ・タルキートナ岩体の超苦鉄質ー苦鉄質岩境界付近の岩石類を精査した。その結果、マントル相当かんらん岩から、下部地殻相当の岩石変化について一般的な特徴を明らかにすることができた。これらに加え、先行研究を行っている現コロンビア大学のPeter Kelemen教授との共同研究を進め、彼らがこれまで採取してきた試料の中から、重要だと思われる試料に関して、すべてのデータと試料を共有することとなった。
3: やや遅れている
分析の遅れ: H26年度は、予定していたよりも、分析機器のアクセスが限られてしまい(分析機器の故障など)、一番最初にやるべき記載に必要な部分の分析が遅れた。その結果、その後の分担分析にも影響が出てしまった。
共同研究の推進により、広範囲にわたる地域の試料、データを共有することができるようになった。そのため、調査地域の絞り込みにも成功したため、来年度は、よりピンポイントで野外調査を行う。特に、マントル相当のかんらん岩体と噴出岩の中間の中部地殻相当岩石露出地域を調査する。この地域は、事前調査によって、花崗岩、ガブロノーライトに加え、かんらん石に富むはんれい岩であるトロクトライト、ウエールライト的岩石が産することが期待される。これらの苦鉄質ー超苦鉄質岩石と、花崗岩などとの野外での関係は、島弧や大陸の中部地殻形成モデルを構築する上で鍵になると考えている。従来採取してきた試料の解析と、共同研究者とのデータとをクロスチェックすることで、より注意深い解析が可能となった。既存のデータを確認し、新しいデータを加えることで、島弧深部相当岩石の火成作用から、それに関連した変成作用、既存岩石の部分融解作用、火成作用から変成作用についての詳細が明らかにされることが期待される。このことは、島弧深部の発展過程そのものであり、噴出岩との成因的リンクや、深部物質のマントルへの崩落(デラミネーション)の現場検証となる。
野外調査消耗品として計上していたキャンプ用品の一部が、今年度も十分に使用できたため、新たなものを購入せずに対応することができた。
今年度の野外調査では、消耗程度を考えてると新しい消耗品を購入する必要があるため、それに使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)
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