1. GIS:世界遺産指定地域のうち湿地帯・溜池が多く存在しているマノ,ポンカムの2つの村(約1km平方)について,2001年から現在までの空間的な変化をGISにより可視化・定量化を行い,時間を追って湿地帯・溜池が埋め立てられていく様子を観察するとともに,放置されて保存状態が劣化している湿地帯・溜池も増加している傾向を確認した.同地域の住民および政府関係者への湿地帯・溜池の減少に関する聞き取り調査を行い,減少の要因として土砂や汚泥の堆積による自然的な劣化以外に,人的な埋め立てが少なくないことを確認した.特に人為的な要因について,住民の湿地帯・溜池に対する態度に関してアンケート調査を行い,住民が湿地帯・溜池に対して好意的な感情を抱く一方で,維持経費を全て自己資金で賄う負担の重さが明らかになった. 2. 街並み景観アーカイブ:新たに,河岸の景観のモニタリングおよびアーカイブの可能性を検討するため,デジタルカメラを搭載した無人飛行機を利用し,メコン川およびカン川の上空からの河岸の空撮のガイドラインを設定し,実際の撮影を行った.河岸の景観の重要な要素である植生に意識を置いたモニタリングの手法について検討を行った. 3. 一般住民の世界遺産に対する意識向上:前年度までに開発した,スマートフォンを利用して世界遺産保存に対する意識向上を図るアプリケーションに関して,モニタリング調査を行い有効性と持続可能性の観点から改善した.これを,アンドロイドの無料アプリケーション"MoradokLP"として一般公開した.
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