研究課題
平成25年度と同様の連携体制でモニタリングを継続して,発生源影響を特定するうえで重要な季節変動,年変動特性を評価し,大気環境について,前年度に得た月・季節変動特性に基づいて,バイオマスとその他の発生源からの寄与を考察するための情報収集と分析を行った。小規模バイオマス直接燃焼源への試作発生源対策装置の設置と予備的検討として,前年度で検討した既存手法およびその複合手法の中から小規模バイオマス直接燃焼源へ適用可能と判断されたもの,および前年度に得た基礎的特性と性能予測手法に基づいて設計・試作した粒子充填層フィルターを用いて,これまで環境調査と試験装置の実験等で実績のあるタイ南部ソンクラ県ハジャイ市近郊の天然ゴムスモークシート製造工場のシート乾燥室をケーススタディとして,試作フィルターの実証試験に向けた予備試験を実施し,基礎データを集積した。環境負荷が及ぼす健康影響に関する予備的調査として,平成25年度と同様の連携体制で,疫学的なデータを含む健康影響に関する情報とバイオマス燃焼起源粒子および粒子中有害成分の曝露実態に関する調査を継続した。ワークショップをバンコクで開催し,得られた結果と次年度へ向けた方針をまとめた。
2: おおむね順調に進展している
関連する研究について,知見を集めてまとめることができ,多くの学会発表を行っており,情報発信も十分である。また,現地調査や種々のデータベースに基づく多角的に環境負荷,健康影響を評価するプロセスの構築も順調であり,年度末には精査した検討結果を公表できる予定である。関連する卒業研究,修士研究,博士研究テーマも設定しており,学生を含めた研究室の研究資産・エフォートを相当集中しており,アクティビティは極めて高い。これまでにない知見をまとめ,新たな人的ネットワークも機能しており,成果の総括についてもある程度予測できるレベルに達している。
本研究の活動を通じて,東南アジアを含む東アジア地域の発生源特性・健康影響の考察とリンクした微粒子モニタリングネットワークの構築が本年度中に相当具体化され,活動を開始した。今年度末にはバンコクで総括のワークショップを行う予定であり,タイのプリンスオブソンクラ大学,日本国内の連携研究者(金沢大学理工研究域および環日本海域環境研究センター,北陸3高専,埼玉大学,自動車研究所,大阪府立公衆衛生研究所,国立環境研究所,産業技術総合研究所),韓国(KIST),中国(武漢科学技術大学,北京師範大学)からの研究者の参加を得る予定になっており,今後の拠点・ネットワーク形成,若手研究者の育成に本研究の成果が発展的・継続的に生かされる予定である。
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