研究課題/領域番号 |
25303011
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
原口 浩一 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (00258500)
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研究分担者 |
小瀧 裕一 北里大学, 水産学部, 准教授 (30113278)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境分析 / 海藻 / 臭素化合物 |
研究実績の概要 |
フィリピン、インドネシアおよびマレーシアで海藻類および貝類を採取し、種別にそれぞれ抗菌性臭素化ビフェノール類の分布、生成要因、季節変動および濃縮機構を調べた。 1.マレーシア産海藻のうち特定のホンダワラ科(種については同定中)に2'-methoxy-2,3',4,5'-tetrabromodiphenyl ether (2'-MeO-BDE68)が高濃度(~2 ug/g wet)で検出された。このMeO体は特定の二枚貝(Isognomon isognomum)への取り込みが顕著に見られた。このMeO体の生物濃縮はインドネシア(Pari island)の海藻-貝類でも同様に観察された。 2.フィリピン(ルソン島)の抗菌性臭素化合物(OH-PBDE)はその生産が海藻種によって異なった。魚介類へOH-PBDEの蓄積は見られないが、新たに数種の臭素化ベラトロールおよびダイオキシン骨格を有するMeO体が検出された。これらは臭素化カテコールに由来し、微生物によりメチル化されて脂溶性を増すと考えられた。 3.日本(近畿地方)でヒジキ、アカモクなどのホンダワラ科海藻を採取し、東南アジア海藻と臭素化抗菌成分を比較した。日本の海藻では臭素化ビフェノールはMeO体として分布した。一方、市販の乾燥ヒジキ(芽ひじき)には高濃度の6-OH-BDE47が検出されたが、MeO体は検出されなかった。この理由として、ヒジキ原料から乾燥ヒジキの加工過程でMeO-PBDEが除去されたと考えられる。今後、ヒジキ海藻と東南アジアの海藻について臭素化ビフェノール生産の種差、生成要因および濃縮過程へのバクテリアの関与を解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東南アジアの海藻のサンプリングについては季節や天候不順などにより採取品目が限られてしまった。特定の海藻について種の同定がまだできていないが、臭素化ビフェノールの分布、生物濃縮過程および日本の海藻との比較については計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.東南アジアにおける海藻の生産する臭素化ビフェノールの分布、生成条件、生物濃縮機構についてさらに解明する。とくに、ヒジキ原料と東南アジアの海藻について臭素化ビフェノール生産へのバクテリアの関与、ヒジキの加工過程におけるMeO-PBDEの化学変化について解明する。 2.臭素化ビフェノールの生物活性(抗酸化活性および抗菌活性)について評価し、構造活性相関による機能性の高いリード化合物を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マレーシアでの海藻サンプリングが3月にずれこんだため、分析結果を得ることができず、解析が年度を越してしまったため。
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次年度使用額の使用計画 |
マレーシア海藻および魚介類のGC-MSによる化学計測、および成分の機能性試験(抗酸化活性、抗菌活性)を行うための試薬合成に用いる。また、海藻種の同定費用としても使用する。
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