研究課題/領域番号 |
25303012
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
福島 E.文彦 東京工科大学, メディア学部, 教授 (80262301)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 海外調査 / ロボット / 地雷探知除去 / 地雷・金属片判別技術 |
研究実績の概要 |
本事業では、世界で最も地雷の埋設量と種類が多いとされているアンゴラ共和国における地雷試験場と実地雷原でフィールド調査を実施し、実地雷や金属片の埋設深さ、姿勢、種類や隣接状態等の観測、およびロボットシステムに搭載された金属探知機を用いた高精度空間位置・姿勢制御された自動走査による信号収集・データベース化そして信号解析を目的とする。 平成26年度には、遠隔操作アーム搭載バギー車「グリフォン」のエンジン始動系の整備と遠隔制御系を改修した後、アンゴラ現地に海上輸送した。そして2015年3月22日~3月28日の期間に、昨年度に引き続きアンゴラ国立地雷処理機関(INAD)の協力の下で「第2回海外学術調査旅行」を実施した。具体的には、昨年度中に現地に海上輸送した地雷探査機材(ロボットアーム)の調整と動作確認を重点的に行い、現地技術者と地雷原での運用方法について意見交換を行った。また、在アンゴラ日本大使館、JICA(独立行政法人国際協力機構)、そしてAgostinho Neto大学を訪問し、各担当者に本事業について説明し今後の協力について相談した。 本海外学術調査を継続することにより、一般的に非常に困難であり未だ実現されていない電磁誘導方式地雷センサ(いわゆる金属探知機)による実地雷原での地雷と金属片の判別技術の研究開発が大きく推進し、人道的な観点からの地雷探知除去作業の大幅な効率向上が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回の第2回海外学術調査旅行では、本年度海外輸送した地雷探査バギー車と前年度に海上輸送済みで現地にて保管中のロボットアームを統合化し、総合試験を行う予定であった。 地雷探査バギー車は2015年1月初旬に海上輸送し、予定通り3月7日にルアンダ港に到着した。通常は2週間程度で現地機関(INAD)側で輸送物の受け取りが完了するため、研究者らは現地到着日を3月23日(月)に設定し試験の準備を進めていた。しかしながら、アンゴラでの通関手続きが変更されたため通常より時間がかかり、研究者らの訪問期間中にINAD側で地雷探査バギー車を受け取り完了できないと直前になってINADから連絡された。そのため、今回はロボットアームの調整と動作確認に注力した。 その後、帰国後に地雷探査バギー車が無事INAD側で受け取ったと連絡があった。従って、次回の海外調査旅行では機材の統合化と総合試験を実施できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
(平成27年度)第3回海外学術調査旅行を実施する。平成26年度に海上輸送した地雷探査バギー車を現地にて保管中のロボットアームと統合化し、機材の基本動作試験と総合試験を行う。特に、本研究と関連して新規に開発したステレオビジョンカメラとロボットアームの自動キャリブレーションを行い、さらには機材の消耗品等を交換してメンテナンスを行い現地で高精度な位置決めを実現できるようにシステムを構成する。 実地雷や金属片の埋設深さ、姿勢、種類や隣接状態等の観測、およびロボットシステムに搭載された金属探知機を用いた高精度空間位置・姿勢制御された自動走査による信号収集・データベース化そして信号解析を進める。データ解析アルゴリズムの評価と改良を行い、得られた結果を取りまとめて発表する。
(平成28年度)最終年度には第4回海外学術調査旅行を実施する。さらに地形や地質の異なる地域での試験を行い、環境が判定アルゴリズムに与える影響も詳しく調べる。また、地雷探査作業にかかる時間等も考慮し、人道的な観点からの地雷探知除去作業の効率向上を定量的に評価する。 最後に、本海外学術調査により得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施した第2回海外学術調査旅行の参加人数を4名から2名に減らし、また滞在期間を2週間から1週間に短縮したため、当初予定よりも旅費が少なかった。前述の「現在までの達成度」で説明した通り、海上輸送した地雷探査バギー車の現地受け取りが予定よりも遅れるとの連絡があったため参加人数と滞在期間を短縮した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度分として請求した研究費は主に第3回海外学術調査旅行にかかる旅費に充て、次年度使用額は機材のメンテナンスに必要な消耗品購入費、さらには老朽化している地雷センサ(金属探知機)、遠隔制御用コンピュータやステレオビジョンカメラ等の購入費に充てる予定である。
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備考 |
Best Paper Award受賞:Jianhua Li, Alex M. Kaneko, Edwardo F. Fukushima, "Proposal of Terrain Mapping under Extreme Light Conditions Using Direct Stereo Matching Methods", SII2014
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