研究課題/領域番号 |
25303023
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小野田 泰明 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00185654)
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研究分担者 |
平野 勝也 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00271883)
塩崎 賢明 立命館大学, 政策科学部, 教授 (20127369)
姥浦 道生 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20378269)
野村 俊一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40360193)
祐成 保志 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (50382461)
坂口 大洋 仙台高等専門学校, 建築デザイン学科, 教授 (70282118)
佐藤 健 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (90290692)
佃 悠 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90636002)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 復興計画 / 計画実装 / 国際情報交換(ニューオリンズ) / 復興住宅 / 復興関連組織 / 再建支援 |
研究実績の概要 |
平成25年度のインドネシアでの調査で、大規模な津波被害を受けたアチェ、地震から復興したジョグジャカルタの被災地域関係者に対して、復興の現状・評価、関係者の状況等を把握した。これらから復興の様相が地域の社会資本と深く関わっていることを見た。これらを受けて、平成26年度のニューオリンズの調査でも重要事業とそれに関わるステークフォルダーから網羅的に情報収集を行った。またそれと並行して進めた四川大地震の対口支援関係者の聞き取りから、計画実装の大枠を理解した。 ニューオリンズについて、1. 個別に事業が展開されていたため分かりにくい復興全体像も各地区の市場価値との関係でみると、(1)市場による個別建替え可能なエリア、(2)アフォーダブルハウジング供給事業展開可能なエリア、(3)それらが難しいため民間支援団体が入っているエリアに整理できることを見た。2. さらに、上述の(3)民間支援団体中心エリアは、その民間団体の性格によって大きく復興の方向性が変わることを明らかにした。 3. これらから従来、復興計画に焦点があてられることが多かったが、自力再建のフローとその市場価値、民間支援団体によること。自力再建フローにおけるクリティカルパスとそこにおける問題層の地域的偏在が大きな原因となっていることを整理した。 四川について、1. 四川大地震で本格的に実施された対口支援は、地方政府レベル、市レベル、各事業レベルと多層的に展開し、どのようなステークフォルダーが関わっているか明確にした。2. 対口支援は近年の地震でも引き継がれてはいるが、地方政府レベルでの関係は減り、物理的復興後のビジネス支援中心となるなど、性格を変えていることを明らかにした。 これらをもとにインドネシア、ニューオリンズ、四川においてそれぞれ存在する復興を実現する基本的フレームに関する知見とその比較方法についてのアイデアを確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 復興計画の策定:ニューオリンズの計画策定についてはすでに多くの情報があるが、市場価値と関係付けることでそれを構造的に整理できた。四川については、対口支援のありようが時系列で変化しており、それが計画の内容にも深く関係していることを見た。 2. 復興計画の実装:ニューオリンズについてはエリアごとに事業者の種類が異なり、実装に大きな影響を与えていること、民間団体支援エリアであるLower9thWardが調査の必要性が高いことを把握した。四川については、平成27年度の実地調査で具体的状況を把握する。 3. 復興の評価:現地を実際に見たり、住まい手の評価を得られたことで大まかな理解は出来た。当初考えていた客観化を図るというより住民の評価について丁寧に聞き取りを行うことが重要であることを理解した。その整理については、最終年度の課題でもある。 以上、概ね予定した進捗状況である。課題が明確になったことで、とりまとめで必要な絞りこみ(ニューオリンズ:民間団体支援エリア、四川:対口支援)の見通しが立った。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は調査を行ったインドネシア(アチェ、ジョグジャカルタ)、ニューオリンズ、中国(四川)において、それぞれの状況を踏まえながらステークフォルダー・マップならびに時系列での再建支援メニューの変化などを整理する。 取りまとめに不足している情報を収集するため、インドネシア(バンダアチェとジョグジャカルタの二か所に絞る)、中国四川省(都江堰他)において調査を行う。 最終的にはそれらの記述を報告の形でまとめ上げる。特に、復興計画策定にあたってどのような人間関係が構築されていたか、主な関係者の関わりとその課題などを丁寧に見る。並行して、時系列での計画進捗や鍵となった分岐点の整理(時間)、政府の復興関係資金の流れと時期(資金)、の二つのチャートを作成することで、より実用的な報告をまとめあげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者(計2名)について、本年度の国内での打合せの日程が合わず、国内旅費を未使用としてしまった。 次年度は、研究代表者ならびに研究分担者等の間で、綿密な日程調整を行い、本年度のようなことが起こらないように努める。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に予定している国内での最終年度の総括の打合せの旅費として、使用する予定である。
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