研究課題/領域番号 |
25303024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
脇田 祥尚 近畿大学, 建築学部, 教授 (40280119)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 建築計画 / スラム / 不法占拠地区 / 空間構成 |
研究概要 |
プノンペンには、大規模不法占拠地区が3ヶ所あったが、既にクリアランスならびに改善事業が実施され、既に大規模なものは存在しない。しかし不法占拠地は失われたわけではなく、小規模なものが都市内に分散したに過ぎない。ショップハウスの屋上や線路脇・河原に形成されている小規模不法占拠地に焦点をあて、その空間構成を現地調査をもとに明らかにした。中でも排水路沿いにある不法占拠地を対象に、自生的に形成される居住環境にみられる秩序については以下の通りである。 (1)住居には多目的空間、台所、水浴び場兼トイレ、個室が存在し、多目的空間はあらゆる行為が行われる柔軟な空間構成であり、35㎡前後で作られている。住居の内部構成は4種類あり、リビングアクセス、台所分離が基本形で、団欒行為や調理行為が外部に溢れだしやすい空間構成である。 (2)木造の軸組で建てられた住居は、地面、水路上両方で建設されており、立地場所の環境にうまく適用しながら建てられている。また住居が立地する環境によって設けられる中間領域が変わり、その種類は5つある。その中間領域の存在によって内部の空間構成が多様になっている。 (3)外部空間は住居、路地、中間領域によって作られている。3種類の路地、5種類の中間領域、敷地環境により高さや位置が違う住居の存在で、多様な外部空間をつくり出されている。また軒や柵は木製で容易に作り変えることができ、それが外部空間にアクセントを加えている。 (4)5種類の中間領域、小まめに枝分かれする路地の存在が、対象地内にパノラマ性と見通し性のある景観をつくり出している。また外部で多様な生活行為が行われていることと、閉鎖的な空間と開放的な空間が不規則に入れ替わることで、変化の富んだ外部空間が作られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続的に現地調査を行っており、日本建築学会の全国大会等でも継続的に成果を発表している。
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今後の研究の推進方策 |
これまで通り、海外調査ならびに学会発表、論文集投稿を継続していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度実施した現地調査の整理をアルバイト謝金を用いて実施しようと予算組を行っていたが、調査自体が8月、12月、3月と年度末までかかり、現地調査の整理を次年度に繰り越したため、アルバイト謝金として確保していた分だけ、繰り越しとなった。 平成25年度の使途目的の通りアルバイト謝金として使用する予定である。
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