研究課題/領域番号 |
25304004
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
菅沼 秀樹 成蹊大学, 理工学部, 客員研究員 (90447235)
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研究分担者 |
宇都木 玄 国立研究開発法人 森林総合研究所, 植物生態研究領域, 研究員 (40353601)
高橋 伸英 信州大学, 繊維工学部, 教授 (40377651)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 二酸化炭素排出削減 / バイオマス / 再生可能エネルギー / 水資源 / 環境技術 / 乾燥地植林 / オーストラリア |
研究実績の概要 |
西豪州乾燥地に完全天水依存状態での植林を実施するための植林地造成作業が2014年度にほぼ完成したため、2015年度はデータ取得と解析、および不具合のあったセンサや場所の補修作業を行った。 具体的には、フィールド調査(2015年9月13日~30日、2016年2月11日~2月22日)にて植林樹木の個体サイズ測定、2015年度の調査で未設置であった最後の流量および樹液流センサの設置、土壌水分状況のモニタリング、表面流出水測定区画の破損部分の補修、測定値に異常が見つかった各種センサの交換もしくは個別キャリブレーションを実施した。 そしてデータ解析によって、植林樹木の降雨に対する成長傾向が明らかにされるとともに、初年度から3年目までには明確な差が見られなかった、植林区画の造成方法による植林樹木の成長の違いが徐々に明らかになってきた。植林樹木の成長速度および生存率はハードパン破砕手法に大きく依存する可能性が出てきた。 また、乾燥地の降雨強度に対する流出率のデータを解析した結果、明らかに理論的に考えて整合性が取れない値が計算された。そのため、フィールド調査にてキャリブレーションを実施した結果、設置区画の微小な地形や配管の漏れ、センサーの測定精度によって、正確に測定できないことが判明した。そのため上述のキャリブレーションを実施し、2016年度には正確な測定値が得られる予定である。 さらに、樹液流センサーの解析結果により、従来法をそのまま乾燥地の植林樹木に適用することが難しいことが判明した。現在はその改良方法を模索中である。 なお、2015年8月20日~22日に研究対象地のあるオーストラリアの環境省の関係者およびにオーストラリア国立大学の研究者に対して、キャンベラにて本科研費の成果を含む一連の乾燥地植林研究の結果を発表し、好評を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度まではフィールド調査時の天候不順や、植林地造成作業時の想定外の追加作業の発生により、やや遅れて研究が推移していたが、2015年度のフィールド調査および解析結果によって、おおむね順調に計画を遂行することが可能となった。 ただし、一部センサーの破損や区画の一部損壊、センサーの設置不備があったため、その部分のみ交換作業や調整作業が発生した関係で、一部の箇所のみデータ取得に遅れがある。 これまで取得したデータおよび研究期間終了までの2年間で、必要なデータを取得可能な状況にある。来年度以降は、データ解析およびフィールド調査に専念する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに取得したデータおよび今後取得していくデータを利用して、乾燥地の植林樹木の水利用効率(炭素固定効率)、降雨強度に対する流出率、植林樹木成長の植林手法依存性の解明などを解析から実施する。そして、炭素固定およびバイオマスエネルギー生産のための乾燥地植林の最適設計の定量評価手法開発をめざし、実用化への提言を試みる。また、解析結果を学会発表や論文発表にて積極的に公表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度に実施した2回のフィールド調査の直前に急速に進んだ円高により、当初想定よりも旅費や現地調達費用が圧縮された。その結果調査費用全体が節約され、次年度使用額が発生した次第である。また計画外の物品を購入するよりも、次年度に計画的に使用した方が価値的と判断したからである。
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次年度使用額の使用計画 |
海外フィールド調査は常に為替の急激な変動に翻弄されるが、できる限り予算の範囲内での適切な執行に努める。
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