研究課題/領域番号 |
25304009
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60292041)
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研究分担者 |
城ヶ原 貴通 岡山理科大学, 理学部, 講師 (10551830)
本川 雅治 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30293939)
鈴木 仁 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (40179239)
山縣 高宏 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (50242847)
村上 正志 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50312400)
新井 智 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (80321868)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生態学 / 系統地理学 / 生物圏現象 / 遺伝学 / ジャコウネズミ / 人類学 / 海上交易 / 人為移動 |
研究実績の概要 |
東アジア、東南アジア、スリランカ、パキスタン、イランおよびインド洋西部地域の島嶼で採集されたジャコウネズミ(スリランカで別種とされるものも含む)のミトコンドリアのチトクロムb遺伝子に基づいた系統地理学的分析を行った。系統樹とネットワークの分析を行った。それよると中国南部、日本(沖縄)、ベトナム、インドネシア(ジャワ)一つのグループに属していた。また半島マレーシアもこのグループに遺伝的にちかかった。これにより東アジア南部から東南アジア島嶼部やマレーシアには、おそらくある一つの地域からの移住によって分布を広げた思われた。興味深いことにインド洋西部のレユニオン島はこのグループに属していた。一方、スリランカとミャンマーの個体は少なくともそれぞれ4つの別々のグループに分かれていた。特にスリランカにおいては同じ地区から捕獲した個体が、かけ離れた遺伝的なグループに属していることがわかった。これによりスリランカは複数の地域からの移入個体群から成り立っていると推定された。一方、ミャンマーはかなり異質な遺伝的なグループからなることから、地域によって遺伝的系統ないし亜種、種がことなるものが混合している可能性があった。インド洋西部ではコモロ島とマダガスカルが遺伝的に近かった。また東アフリカのザンジバル島の個体は、はるか遠方にあるイラン南西部の個体と全く同じハプロタイプを持っていた。パキスタンの個体はこれらのイランーザンジバルに遺伝的に近かった。これによりインド洋西部では交易によりかなり遠距離に移動し分布を拡散したと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
得られたサンプル数がおおいところがありなかなか分析が追いつかない。また非常に重要なポイントである中東の個体についてはイエメン以外はサンプリングできなかった。特にオマーンの調査は不可欠であるがなかなか現地の研究者ないし協力者を探す過程がうまくいっていない。 他の地域については、かなり多くのサンプルが集まり、分析待ちという状況である。
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今後の研究の推進方策 |
スリランカのジャコウネズミは昨年度の染色体の研究により雑種ないし異系間交雑が起こっていることが示唆された。それと母系のミトコンドリアの調査の両方を進める。ミャンマーにおいても同様である。 また中東においてはイエメン以外は採集できていないので、最終年度である今年度は中東を中心にサンプリングを行う予定である。 またマイクロサテライト多型を用いた集団遺伝学的調査を進める。形態の調査はサンプル数が多いので分析する地域を限定して、種内変異について明らかにする。また分布可能な地理的な分布域を推定するニッチェ解析については昨年度までのデータで論文にまとめる。 以上のことをまとめジャコウネズミの移入、拡散過程についての総合的なとりまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の一人(城ヶ原貴通)が年度途中で退職したために分担金を代表者に返納したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において主に旅費で使用予定。
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