研究課題
2017年11月20日から29日にかけてオマーン国での現地調査を、現地の環境コンサル会社と共同で実施した。当該年度は予算が限られているので調査地域を首都のマスカット周辺だけに限定した。マスカット周辺の港湾地域や農村、市場において、ジャコウネズミの生息状況についての聞き込み調査とトラップによる捕獲調査を実施した。過去にマスカット周辺においてジャコウネズミの捕獲記録があったが、実際に現地にいってみると農村・港湾地域は市街化が進み、またしばしばジャコウネズミが生息している市場も衛生状況が整備され、マスカット周辺は彼らにとっての生息環境としては良くなかった。これらの地域での現地住民や動物学者への聞き込み調査では、ジャコウネズミの生息の情報は得られなかった。古くからの居住民であるオマーン人は労働作業や家事をすることはないので、現在いても彼らはジャコウネズミを見る機会もないだろうし、ここ30年に大挙して入国してきた外国人労働者にとっても、過去にジャコウネズミが生息していたとしても見たことのある人は少ないと思われた。さらに40台のシャーマントラップをマスカット周辺の5箇所以上の農場に掛け捕獲調査を行ったが、数種の齧歯類が捕獲されたのみであった。また農園で働いている外国人労働者は、齧歯類であるネズミとトガリネズミ科のジャコウネズミ類の区別はついていないようであり、彼らの何人かは見たことがあるといったが、そこにトラップを設置しても捕獲された動物は齧歯類のみであった。調査期間こそ短いが、以上のような結果や世界各地におけるジャコウネズミの捕獲実績のある実施者(大舘)の経験からも、現在においてはマスカット周辺にはジャコウネズミは生息していないと思われた。今後は、オマーン北部の伝統的な海上交易地域での調査がつよく望まれた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Naturalistae
巻: 22 ページ: 39-44
Jounal of Wildlife and Biodiversity
巻: 1 ページ: 79-87
10.22120/JWB.2017.28261