研究課題/領域番号 |
25304010
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
四ツ倉 典滋 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (60312344)
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研究分担者 |
小亀 一弘 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80215219)
阿部 剛史 北海道大学, 総合博物館, 講師 (00301929)
川井 唯史 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 稚内水産試験場, 主査 (90644419)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コンブ類 / 北太平洋 / 種多様性 / フィールド調査 / 海藻 |
研究概要 |
サハリン南部におけるコンブ類やその他海藻の種多様性と生育状況を把握する目的で、2013年8月に潜水をともなう植生調査を行った。 潜水は、サハリン南部の多様な海洋環境の海岸を広くカバーするため、日本海側の磯焼け地帯を代表するYablochnyy、そこに隣接して磯焼けが見られないGornozavodsk、日本海側で海洋学的には海底湧昇流の存在の可能性が指摘されているクリリオン岬のShebunino、日本海側より水温が低いアニワ湾のPrigorodnoye、さらに水温が低いオホーツク海側のLesnoyeで行い、海藻が最も豊富なオホーツク海側でも群落がみられる下限付近の水深は10m程度であることから水深0mから10m付近までを調査した。その結果、水温が低いほどコンブ類は深い場所まで出現する傾向があり、磯焼け地帯のYablochnyyでは水深1m以浅にコンブの出現が限られ、それよりも深い場所には海藻が見られずウニ類だけが出現していたが、近隣のGornozavodskではコンブが水深5m付近まで生育していた。一方、Prigorodnoyeと海底湧昇の関係で水温が低いShebuninoでは水深5m付近まで、最も水温が低いLesnoyeでは水深10mまで濃密なコンブ群落が見られ、Lesnoyeにおいてコンブ類の種組成が他とは異なり北方系となっていた。なお、DNA多型解析の結果、日本海側2地点とPrigorodnoyeに生育するSaccharina japonicaは、北海道沿岸のS. japonica var. ochitensisやS. japonica var. diabolicaと類似度が高いことが示された。 また、これまでのところYablochnyy、Gornozavodsk、Lesnoyeから緑藻8種、褐藻30種(コンブ目9種を含む)、紅藻32種の海藻を同定し、押し葉標本117点、シリカゲル標本73点を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたサハリン南部の日本海沿岸、宗谷海峡沿岸、オホーツク海沿岸を計画通りに調査を実行することができた。さらに、現地研究機関との交流の結果、調査地の環境情報を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ペトロパウロフスクカムチャツキー、および周辺域において前年と同様の調査を行う。調査地選定・現地交渉・各種手配 ・調査補助はカムチャツカ国立技術大学のNina Klochkova博士(外国人協力者)の協力を仰ぎ、7月を目処に調査地を訪れ、およそ2週間の調査を実施する。旅行経路は、成田-ペトロパウロフスクカムチャツキーの航空便を利用し、調査には現地研究者の協力のもとダイバーとボートを手配する。さらに、オネコタン島、あるいはコマンドルスキー諸島での調査を計画するが、研究予算を考慮して柔軟に対応する。
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次年度の研究費の使用計画 |
現地調査におけるダイバー雇用費やボートの利用代金が想定していた金額よりも安価であったため。 現地調査をより安全に遂行するための現地ガイドやダイバーの雇用費に充てる予定である。
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