研究課題/領域番号 |
25304024
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 独立行政法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
飯泉 佳子 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (00414996)
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研究分担者 |
渡辺 武 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (40425525)
近藤 始彦 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所稲研究領域, 上席研究員 (00355538)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水稲 / 生育障害 / 水田 / 灌漑水管理 / 土壌化学 / 作物生理 / ベトナム / メコンデルタ |
研究概要 |
本研究の目的は、ベトナム・メコンデルタにおける雨期の日射量の減少では説明できない水稲の減収要因を解明し、雨期作で発生する水稲の生育障害や登熟不良を抑制する対策技術を開発することである。 研究は、1)土壌環境要因の解明、2)イネに吸収される硫黄の化学形態と供給源についての比較・検討、3)灌漑水の管理技術の構築、4)品種間差異に関する評価の各アプローチから構成されている。まず、雨期に水稲の生育障害が発現する圃場と発現しない圃場をそれぞれカントー市内とアンジャン省内に選定し、観測地点とした。また、水稲の雨期作において、硫化水素による生育障害が発生している可能性の高いカントー市内の圃場に試験地を設営し、水稲の栽培実験を開始した。試験圃場には3処理3反復の合計9区画を整備し、地下水井とピエゾメーターを設置した。各処理区には、硫化水素に対する耐性品種と非耐性品種をそれぞれ移植し、灌漑水の管理方法を変えて水稲を栽培した。水田の田面水、土壌間隙水、灌漑水、地下水などを採取し、環境水中に含まれる硫酸イオン濃度の実態を明らかにした。また、試験圃場において深さ2mまでの土壌の柱状試料を採取し、土壌の物理的、化学的特性を把握するとともに、酸性硫酸塩土壌の特徴を示す層の分布深度を評価した。さらに、表層に酸性硫酸塩土壌が分布していない地域において、乾期作と雨期作を対象に生育後期の水稲を掘り取って根の調査を実施し、両期間の差異を示した。一方、イネおよび土壌や水などの環境試料に含まれる硫黄安定同位体比の測定条件を明らかにし、硫黄安定同位体比は環境中で値が大きく変化することなどを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地研究機関の職員らの協力により、実験・調査の実施と観測データの収集が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
ベトナム・メコンデルタ地域の試験圃場において、水田の年間(雨期作、乾期作、休耕期)をとおした土壌環境を解明し、イネの生育障害の有無や障害の程度との関係を明らかにする。酸化・還元による硫黄の形態変化や環境挙動などを調査するとともに、硫黄の供給源を推定する。 灌漑方法の違いによって、水田の土壌環境、イネの生育や収量などがどのように変化するかを評価する。酸性硫酸塩土壌でも収量の高い有望品種の系統について、障害圃場での生育実験を行ってその要因を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者である渡辺武主研は、平成26年3月上旬にベトナムへの出張を計画していたが、滞在していたインドのマルティプル・エントリー・ビザが取得できなかったので、出発日を平成26年4月に変更した。また、この出張に合わせて必要となる資機材も4月に購入することとなった。これらの理由により、次年度使用額が生じた。 渡辺武主研の出張旅費(平成26年4月)および物品費として使用する。
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