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熱帯雨林の気象樹木であるクスノキ科樹木ウリン(Eusideroxylon zwageri)の天然林集団の遺伝構造を明らかにし、対象種の保全管理を考えることが本研究の目的である。本年度は、ウリンの分布するインドネシア国カリマンタン島ムラワルマン大学において国際ワークショップを行い、現地協力の研究者らにこれまでに結果として得られたウリンの分布域における遺伝的多様性と遺伝分化について説明を行った。また、現地におけるウリンの現状等に関する説明を受け、保全に関する議論を行った。また、本研究で用いているSSRマーカーやシーケンスといった手法は金銭的・技術的な点から現地では適用困難であるとの指摘を受けた。そこで現地でさらに遺伝的な情報を蓄積し、また、種苗等を管理していくために実現可能な手法についても意見交換をした。
また、ムラワルマン大学演習林内に設定したウリン実生ストックの葉をサンプリングし、遺伝的多様性を本研究で開発した5つのマイクロサテライトマーカーを用いて解析した。その結果、実生集団の遺伝的多様性（HE＝0.78）はカリマンタンの成木集団の遺伝的多様性（平均HE＝0.76）と同程度で、スマトラの遺伝的多様性（平均HE＝0.64）よりも高かった。
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