研究課題
インドネシアのランプン湾で有害種Cochlodinium polykrikoidesの調査を8月に行い,本種が2012年以降ランプン湾に定着していることを確認している。本種赤潮出現海域では休眠シストの探索を目的として海底堆積物の採集を行った。赤潮試料中にhyaline cystの出現は確認されたものの,発芽実験を含む海底堆積物中からの探索では,休眠シストは確認されていない。ベトナム北部沿岸で4月に魚類斃死が発生し,現地調査を行った。現地研究者より入手した試料より赤潮の出現は確認されたが,細胞の保存状態が良好でなく同定には至らなかった。そこで近郊の沿岸域で採集を行い,確立した培養株の観察と分子系統解析を行うことで,無殻渦鞭毛藻Karlodinium decipiens,Takayama xiamenensis,ラフィド藻Heterosigma akashiwo等の有害赤潮原因種の出現を確認した。K. decipiensはアジアからは初報告となる。マレーシア・クランタン州沿岸で2016年3月にラフィド藻Chattonellaの大規模な赤潮が発生し,天然魚の斃死が起きた。東南アジアではChattonellaによる赤潮被害の報告はないが,出現はしばしば確認されていることから,現在までに作成してきたインドネシア産,マレーシア産,タイ産培養株の系統解析を現地研究者と共同で進めた。系統的位置が日本産株と異なっていたことから,これらの株について種を識別する形質となっていたピレノイド内の微細構造を比較した。現地調査には若手研究者が参加することで育成を進めた。10月にはマレーシア,フィリピン,タイ,ベトナムからの若手研究者が日本に滞在して共同研究を進めたほか,12月にベトナムで開催したWESTPAC-HABワークショップ,3月にマレーシアで開催されたCCore国際セミナーを通して有害藻類研究に関する情報交換を行い,東南アジアにおける有害藻類研究者ネットワークを強化している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fisheries Science
巻: 82 ページ: 787-797
DOI: 10.1007/s12562-016-1000-1