研究課題
熱帯域の沿岸に広がるサンゴ礁に生息する魚類は、水温や日長の変動が少ない環境に適応しながら繁殖活動を営んでいる。周期的に繰り返される繁殖活動は、この海域の魚類が熱帯特有の環境要因の周期性を感受・利用していることを示している。本海外調査は、熱帯起源の魚類が繁殖活動の同期に利用している環境要因とその内的伝達機構を明らかにすることを目的とし、季節変化が大きく異なるフィリピンのサンゴ礁域に調査定点を設け、環境変動の詳細と魚類の繁殖活性の比較ならびに環境攪乱実験による繁殖関連の環境要因の特定した。また、視床下部―脳下垂体―生殖腺系の上位に位置する脳部位にターゲットを絞った魚類の環境センサーの存在と役割の解明を行うこととした。平成27年度には学術調査を平成27年10月11日~10月15日を行った。現地共同研究者に依頼し、海外調査一ヵ月前から研究対象魚種を2群(給餌制限群と給餌無制限群)に分けてIgan Marine Stationで飼育した。海外調査時に現地での解析を行った。組織学的観察を行うための生殖腺のサンプルと遺伝子発現を調べるための脳サンプルを日本に持ち帰った。給餌を操作することにより生殖腺の発達を誘導することができた。周年サンプリングにおいて、本年度海外調査を行った時期には生殖腺の発達がほとんど起こっていないことから、熱帯モンスーン気候帯に起源を持つ魚において栄養条件の改善が生殖腺の発達に影響を及ぼす可能性があった。以上の結果から、調査地点の環境変動は、熱帯モンスーン気候と亜熱帯気候の周年変動をあわせもち、この地域に適応したゴマアイゴは両方の環境要因を利用しつつ繁殖を行っている可能性があった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Comparative Biochemistry and Physiology
巻: 188 ページ: 32-39
doi:10.1016/j.cbpa.2015.06.010
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http://www.takemura-lab.jp