サンゴ礁に棲息するアイゴ類を研究対象魚とし、熱帯特有の地域環境要因の周期的変化が魚の成熟開始に及ぼす影響を明らかにした。フィリピンギマラス島イガン湾に生息するゴマアイゴの繁殖活動は3月から7月(雨季)に増加したが、散発的に周年行われていた。繁殖活動が低下する9月から10月(乾季)に給餌実験を行ったところ、全ての魚に性成熟を誘導できた。脳内に発現するインシュリン様成長因子(IGF-1)遺伝子の発現量を給餌制限の有無で測定した結果、給餌制限区の魚の間脳におけるIGF-1遺伝子発現量は下がった。以上の結果から、栄養状況は脳内の栄養代謝遺伝子の発現に影響を与えることを示している。
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