研究課題/領域番号 |
25304033
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
山田 祐彰 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60323755)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 農業経済学 / ブラジル / アマゾン / 日系農業 / アグロフォレストリー / 技術普及 / 移民 / 国際協力 |
研究実績の概要 |
現地の乾季にあたる本学夏期休業時、ブラジル農牧研究公社東部アマゾン研究センター(EMBRAPA Amazonia Oriental)において、アマゾン農業史に詳しいAlfredo Kingo Oyama Homma(尾山・本間)研究員、トメアスー日系入植地出身の森林生態学者Ozvaldo Ryohei Kato(加藤)研究員、国際農業研究協議グループ(CGIAR)国際アグロフォレストリー研究センター(ICRAF)のラテンアメリカ事務所代表をつとめた、文化人類学者Roberto Porro研究員らに、トメアスーアグロフォレストリーシステム(SAFTA)の、前世紀末以降の技術的・社会経済的展開についてインタビューするとともに、文献資料調査を行なった。 トメアスー入植地では、日系のトメアスー総合農業協同組合(CAMTA)とトメアスー文化農業振興協会(ACTA)における、1990年代後半以降、戦後移民一世から日系二世への権限移譲プロセスと、アグロフォレストリー普及の展開について、キーインフォーマントインタビューと資料調査を行った。さらに、両団体を通して同意を得られた20戸の日系農場を訪問し、アグロフォレストリー経営調査を行った。 また、本学の実施する国際協力機構(JICA)草の根技術協力事業を通して、CAMTA農事部(ATEA)技師等からSAFTAによる栽培指導を受ける、サンタバルバラドパラー市とイガラペアスー市の非日系小農集落2ヶ所を訪ね、参与観察とキーインフォーマントインタビューを通して、SAFTAの技術導入プロセスとその課題について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乾季調査は予定通り行い、アグロフォレストリーの研究と普及にかかる東部アマゾンの現地機関と日系団体の訪問調査や、文献調査に加えて、トメアスーアグロフォレストリーシステム(SAFTA)を開発した日系入植地の農家経営調査を実施した。さらに、トメアスー市から200~300km離れた非日系小農集落において、SAFTA普及プロセスを検証した。 一方、当初予定していた年度末の雨季調査は、人事異動等による用務増加で、遠方のアマゾンへ出張する上で十分な期間が確保できず、新年度早々に延期することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度予定して延期した雨季調査を、日本のゴールデンウィークを活用して実施する。昨年の乾季調査で出た諸々の疑問について現地関係者に質すとともに、トメアスーアグロフォレストリーシステム(SAFTA)を実践する日系・非日系農場を訪問し、圃場観察と聞き取りにより農業経営と栽培体系の記録を取る。SAFTAの技術移転と技術改良、普及の課題や制約条件について、日系団体の技術者と、非日系小農の裨益者に聞き取りを行う。 乾季調査は日系団体のSAFTA普及活動記録を続けるとともに、グアマ河南岸諸市を訪れ、SAFTA普及状況を確認する。SAFTAを実践する農家と懇談し、技術移転と定着の過程を明らかにしつつ、栽培体系と普及手法の改善に関する諸課題を検討する。雨季調査はグアマ河北岸諸市において、同様に実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、年度末に予定していた雨季調査が、予期しなかった大学用務の急増により、実施不可能となった。そのため、当該調査を新年度のゴールデンウィークに延期した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度から繰り越した現地調査を実施する。さらに、本年度は現地のトメアスーアグロフォレストリーシステム(SAFTA)研究者・技術者を、共同研究のため日本に招聘する。
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