研究課題/領域番号 |
25304035
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
耕野 拓一 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20281876)
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研究分担者 |
蒔田 浩平 酪農学園大学, 獣医学部, 准教授 (40588133)
仙北谷 康 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50243382)
西田 武弘 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (70343986)
宮崎 さと子 (窪田さと子) 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90571117)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ベトナム / スリランカ / モラルハザード / 家畜保険 / 逆選択 / 人畜共通感染症 / リスク回避 / 時間割引率 |
研究実績の概要 |
ベトナム・ハノイ近郊のBAVI地区で、ベトナムで試験的に実施された家畜保険加入の農家の意思決定要因について明らかにするために、酪農家100戸のフィールド調査を行った。ベトナムの家畜保険は、保険対象が口蹄疫・パスツレラ・炭疽の3疾病で、その死亡ケースについてのみ保険金が支払われる仕組みとなっており、貧困農家層は保険加入費は全額政府から支払われる。 分析から明らかになったのは次の点である。第一に、リスク回避的な農家が保険に加入している。第二に、時間割引率の高い、いいかえると、せっかちな農家ほど、保険には加入しない傾向がある。第三に、地域に信頼できる人が少ない人は保険に加入する傾向が高い。第四に、途上国では、モラルハザードや逆選択の存在が、保険の実施を困難にしていると言われているが、分析結果からはそのような傾向は示されなかった。第5に、平均産次数の高い乳牛を持つ農家で、保険に加入する傾向が高い。以上の点などが明らかになった。 2015年9月にハノイ農業大学で家畜保険に関するセミナーを開催し、上記の成果を報告するとともに、フィールド調査を行ったBAVI地区でも、農家を対象にした家畜健康セミナーを開催し、調査結果の概要について報告した。また2015年11月には、メキシコで開催された国際学会(国際獣医疫学経済学会)で、ベトナムの調査結果について報告を行った。 2016年3月には、スリランカ東部で、人畜共通感染症である牛ブルセラ症の予備調査を行った。当該疾病は牛の流産を引き起こす可能性があり、スリランカでもこの疾病が当初の予想以上に浸潤している可能性がわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベトナム調査では天候要因による調査の遅れなどはなく、おおむね順調に研究を進められることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となる。スリランカ東部のアンパラ地区で、牛2000頭から採血を行い、スリランカにおける牛ブルセラ症の有病率の推計を行い。また、この推計結果に基づき、有効なワクチン接種などの政策介入を行った場合の費用と便益の推計を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ベトナムでのフィールド調査戸数が、現地に事情で制限され、当初予定の200戸の農家調査ができなく、100戸の農家調査の規模となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、スリランカの牛ブルセラ病の調査において、2000頭規模の牛からの採血を予定しており、これに使用する。
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