研究課題/領域番号 |
25304036
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
安永 円理子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00380543)
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研究分担者 |
細野 ひろみ 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00396342)
高田 大輔 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (80456178)
弓削 こずえ 佐賀大学, 農学部, 准教授 (70341287)
中野 浩平 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20303513)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マンゴー果実 / 生産環境 / 流通環境 / 品質 / 流通技術 / 流通構造 |
研究概要 |
現地調査に先立ち,タイ・チェンマイにおいてキックオフセミナーを開催し,生産環境,流通環境,品質管理の各ユニットの調査項目を確認することにより,研究全体の方向性を相互に共有した.現地調査は,チェンマイ県プラオ郡ならびにピッサヌローク郡の輸出用マンゴー栽培農場で実施した.調査項目は以下のとおりである. ①生産環境ユニット:圃場環境(土壌水分,気温,地温,湿度,日射量,風速,土質化学),栽培技術(水管理,土壌表面管理,農薬,花成誘導時期,剪定,摘蕾・摘果),マンゴー樹の生理情報(葉温等).②品質評価ユニット:品質項目(糖含量,L-アスコルビン酸含量,デンプン含量,硬度,色度),マンゴー果実の生理活性(呼吸)に関する実験.③流通環境ユニット:流通環境(コンテナ内温度,湿度,振動,ガス環境,輸送距離,輸送時間),流通技術(輸送方法,包装技術,包装素材)の調査.タイの流通構造,システムの聞き取り調査. 具体的な取り組みとして,①のユニットでは,今年度は,プラオおよびピッサヌロークにおいて,土壌サンプルを採取し,それぞれの圃場の保水性,透水性および粒度組成を実験によって求め,圃場の土壌特性の違いを明らかにした.また,土壌中の水分および物質移動を表現するシミュレーションモデルを構築し,モデルのインプットデータを収集した.②および③ユニットでは,本年度は,マンゴーの果実表皮の色度と果肉品質指標(硬度、糖度、ビタミンC)の関係性について,機械学習の一手法であるランダムフォレストを用いて解析した.結果として,果実表皮の色から,品質指標を高精度に推定できることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生産環境,流通環境,品質評価ユニットそれぞれが独立した部分と連携した部分があるが,全体ではお互いが協力し合い概ね順調であるといえる.しかしながら,一点,タイの流通構造に関する聞き取り調査については,調査項目の選定等の準備は進行しているものの,現地調査に至っていたないため,やや遅れているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
生産環境ユニットにより構築中のモデルを用いることにより,マンゴーの生育期間を通して 灌漑および施肥のタイミングを予測することが可能であると考えられるが,それを,品質評価ユニットの行う収穫実果実品質評価との相互評価を実施することにより,もう一段階進めて高品質なマンゴー果実生産のための指標となり得るモデル構築に取り組む. 流通環境ユニットおよび品質評価ユニットの成果から,果実表皮の色度をモニタリングすることにより,非破壊的に内部品質の経時変化を評価可能になると考えられたので,実際の流通環境を実験室にて再現することにより,実際の流通に即した環境における果皮色のみならず,内部品質評価の可能なモデル構築に取り組む.また,流通システムについては,ステークホルダーの業務に対する意識を明確にし,問題を顕在化するための聞き取り調査を実施する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成27年度の配分金額が少ないが,27年度も充分な調査や報告会が実施できるように配慮し,タイ現地で行うフィールド調査やミーティングの際には最低限の渡航人数となるよう調整し,旅費を圧縮したことと,アルバイトを雇用せず,ほとんどの作業を自分でやることで人件費を削減したため. 平成27年度にタイへ数回渡航するための資金として利用する.
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