研究課題
1.地表面観測衛星によって得られる昼夜地表面温度差と反射率を用いたSatellite based Aridity Index (SbAI)を開発し、乾燥地研究で著名な国際誌(Journal of Arid Environments)に掲載された。SbAIは全球レベルの地表面の乾燥度を毎日モニタリングすることが可能であり、全球の乾燥地の分布を的確に表現していた。また、SbAIがある閾値以上になると、東アジアにおける黄砂が発生しやすくなることを明らかにした。SbAIを鳥取大学乾燥地研究センターのオリジナルプロダクトとして、既存の「黄砂発生監視システム」にマウントし、プロダクトを公開した。また、SbAIによる全球干ばつ地図をwebで公開した。2.植生種の違いによる柔軟性や遮蔽率が飛砂を抑制する効果を風洞実験によって検証した。固有振動周期を持たない(風に対して柔軟性のない)植生の方が飛砂を多く捕捉し、なおかつ、少ない遮蔽率でその効果が出やすいことを明らかにした。本結果は、効果的な飛砂防止工法の開発または黄砂発生抑止開発へ寄与できる可能性が示唆された。3.モンゴルの黄砂発生源であるツォグトーボーにおいて、2年間にわたる黄砂の発生と地表面状況との関係について解析を行い、ダスト研究で著名なAeolian Researchに掲載された。黄砂の発生は、地表面の乾湿状態、クラストの形成、土壌の凍結が要因となっていることが考えられ、特にクラストの崩壊の過程を物理的に明らかにすることが、その年の黄砂の発生予測に重要であることを指摘した。4.MODIS後継のSGLI活用のための地表面温度算定アルゴリズムを開発し、その応用可能性について検討した。算定された地表面温度の精度は1.5Kであり、鳥取県のコメの一等米比率に影響する気温の代替値として、十分に応用可能であることが示された。
2: おおむね順調に進展している
当初、計画していた「衛星による面的なモニタリング手法の開発」に関して、衛星データだけで算定できる地表面湿潤度指標プロダクトを提示、論文として公表できた。また、その結果を年度内に「黄砂発生監視システム」にマウントし、プロダクトとして一般に公開することが出来た。
これまで構築してきた「東アジア黄砂発生ハザードマップ」(黄砂発生臨界風速推定アルゴリズム:web公開システム)に地表面湿潤度指標を組み込み、植生、積雪、地表面湿潤度を考慮した黄砂発生の実況および監視システムの向上に努めたい。また、現地観測や風洞実験において、植生やレキ、クラストの黄砂発生抑制に関する物理的メカニズムを解明し、臨界風速推定の精度向上に努めたい。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Aeolian Research
巻: 14 ページ: 3,13
Journal of Arid Environments
巻: 109 ページ: 31,38
Journal of Water Resource and Protection
巻: 6 ページ: 1335,1343
巻: 15 ページ: 169,176
http://www.alrc.tottori-u.ac.jp/staff103/