研究課題/領域番号 |
25304038
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西堀 正英 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (80237718)
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研究分担者 |
山本 義雄 広島大学, 生物圏科学研究科, 名誉教授 (10032103)
万年 英之 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20263395)
角田 健司 昭和大学, 医学部, その他 (40095906)
黒澤 弥悦 東京農業大学, その他部局等, 教授 (40600747)
山縣 高宏 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (50242847)
高橋 幸水 東京農業大学, 農学部, 助教 (50408663)
野村 こう 東京農業大学, 農学部, 准教授 (60277241)
国枝 哲夫 岡山大学, その他の研究科, 教授 (80178011)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カザフスタン / 在来家畜 / 遺伝資源 / DNA / 外部形態 / サイガ / 家畜の近縁野生種 / 保護・保全 |
研究実績の概要 |
本研究は,カザフスタンの在来家畜および近縁野生種の遺伝学的位置付けならびに遺伝的類縁関係ならびに家畜伝播経路を,アジア全域を対象にこれまで約50年間実施してきた在来家畜研究の一連の流れの中で解析しようとするものである。本研究の目的は,ヨーロッパ,西アジアから東アジアへの交易(シルクロード)拠点である中央アジアの国カザフスタンにおける在来家畜・家禽および野生種について遺伝資源学的に調査を行い,貴重な動物資源そのものの詳細を明らかにし,遺伝的多様性やこれまでに調査した集団との遺伝的類縁関係を明らかにする。この研究成果を今後の生物資源の保存と保全策の策定ならびに利活用に有効に活かすことにも大きな意義がある。 2014年9月8日から30日にKazakhstan, West Kazakhstan, Almaty, Taraz, ShymkentおよびAkmola provinceの家畜およびその近縁野生種について飼育頭数,飼育状況,血液あるいは生体試料のサンプリングを中心に実施した。2014年度収集したサンプルはサイガ15頭,ウシ25頭,ヤギ40頭,ヒツジ55頭,ウマ33頭分であった。ニワトリは形態のみの観察を13羽について実施し,外部形質(7座位)から「在来鶏は野生型の羽色(e+)と黄脚の個体が多く認められた」。 とりわけ,サイガについて西カザフスタン(西カザフスタン大学)で8頭収集し,加えて農務省オタ研究所から7頭を入手した。サンプルの収集のみならず,サイガの飼育繁殖研究についても調査し,カザフスタンにおける絶滅危惧動物の保護保全の現状を明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
準備,期待した通りの調査が先方カウンターパートと効果的に実施できた。とくに,サイガ,ウマ,ヒツジについては他のアジア諸国に見られない形態および表現型が存在することが見出された。したがって,2014年度の調査活動はカスピ海北部のWest Kazakhstanおよび南部(Almaty, Taraz, Shymkent)を目標にしていたことから十分目標が達成できた。収集したサンプルのDNA解析および遺伝学的な解析はほぼ予定どおり終了した。以上から,現在までの達成度は概ね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,西部のカスピ海周辺地域について調査を実施し,調査時期や期間については平成25~26年度の調査に準じ,実施する。 ①の1 調査研究実施国と調査国カウンターパート カザフスタン共和国:カウンターパートはアスタナ医科大学のカズンベット教授(元学長)である。アスタナ医科大学と広島大学は2009年11月6日(金)に大学間国際交流協定を締結した。 ①の2 地域及び旅行経路 調査地域および旅行経路は下図に示す通りである。日本からは韓国(インチョン)を経由してアルマトゥからカザフスタンに入国し,首都アスタナに空路で向かう。国内の移動は,面積が世界第9位(日本の7.5倍)もあることから空路を主として利用し,近隣地域は,車(自動車借上げ経費を申請)あるいは鉄道を利用する。 絶滅危惧種であるウシ科「サイガ」のフィールド調査および遺伝学的調査をカザフスタン農務省と共同で実施する計画である。解析方法は家畜の遺伝子解析方法に準じて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究における当初の計画において実施予定であった対象家畜のうち,ブタとニワトリなどカザフスタンにおける飼育状況が一部宗教上の関係で想定とは異なっていたためにサンプル収集ができなかった。また,絶滅危惧動物「サイガ」についてカザフスタン農務省との交渉に時間がかかり,充分サンプリングができなかった。このためにサンプル処理に関する試薬等にかかる経費の支出が計画に比して少なくなったために使用計画額と差異が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は,本年の計画通りカザフスタン西部の調査を実施することで,ブタおよびニワトリのサンプリングが期待できる。加えて,本年は別途,さらなるサイガの調査(北部カザフスタン)を実施する。このためにサンプル処理に関わる経費の支出を計画した。
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