研究課題/領域番号 |
25304041
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
五十嵐 慎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (60374766)
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研究分担者 |
井上 昇 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (10271751)
横山 直明 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (80301802)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | モンゴル / トキソプラズマ / ネオスポラ / バベシア / タイレリア / トリパノソーマ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、モンゴルにおける慢性消耗性疾患である原虫病の感染状況を調査し家畜の原虫病感染と冷害死との因果関係を明らかにすることである。加えて、現地で継続活用可能な原虫病の簡易診断法を構築し、現地共同研究者とともに原虫病の清浄化プログラムを考案することにより、人材育成と国際貢献を図る。 本年度は前年度に引き続き、モンゴル各地(Tuv、Selenge、Khentii、Bayan-Ulgi、Khovd、Bayankhongor、Arkhangaiなど)のウシ・ウマ・ヤギ・ヒツジ・ヤク・ラクダより血液および血清の採集を行なった。現段階で各家畜約2000から3000のサンプルを取得している。トキソプラズマおよびネオスポラは一部サンプルについて、構築したELISA法を用いて検査を開始した。また、ヤギ及びヒツジ心臓よりバイオアッセイによる虫体の分離を試みている。クリプトスポリジウムは下痢症家畜数例について検査を行なっているが、今のところ陽性は見つかっていない。トリパノソーマにおいては、感染馬より虫体分離・培養を試みているとともに、構築したELISA法およびICT法を用いた抗体陽性率の検討を行なっている。バベシアにおいては、PCRによる血液からの原虫DNA検出法を開発した。現在取得血液サンプルからDNAの抽出を開始し、陽性率および遺伝子多型解析を行なう予定である。また、媒介マダニの陽性率を調べる目的で、前年度に引き続きマダニの採集も行っている。これらの研究は全て、モンゴル農業大学獣医学研究所の協力のもと進められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は既存の診断法に加え新たな診断法を構築し、構築した診断法を相手国研究所に導入することにより現地での検査体制の整備を行なった。またモンゴル各地のサンプル採集も継続的に行なっており、研究は計画に沿って順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
相手国共同・協力研究者との連携は非常に良好である。モンゴルにおける家畜原虫病の分子疫学調査報告を取りまとめる。遺伝子・抗原解析をもとに現地原虫グループの流行に適した簡易診断用のキットの作製を目指す。持続的原虫病対策のための技術移転、特に新規診断法、媒介節足動物対策、及び衛生管理技術の確立などの原虫病の清浄化プログラムをモンゴル国に提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨冬と同様、今冬のモンゴルは暖冬であったため冷害による家畜被害が報告されなかった。したがって、それに伴う調査を行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画に従い、引き続き分子疫学調査を実施する。調査に伴う物品費(採血、遺伝子解析、血清診断等)および原虫分離のための家畜やマウスの購入、フィールド調査に適した簡便な診断キット作製のための消耗品に使用する。
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