研究課題/領域番号 |
25305002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
森 真理 武庫川女子大学, 国際健康開発研究所, 講師 (70399343)
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研究分担者 |
家森 幸男 武庫川女子大学, 国際健康開発研究所, 教授 (80025600)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 予防栄養学 / 食育 / 低出生体重 / 代謝疾患 / 低栄養 / タンパク質 / 国際貢献 |
研究概要 |
目的:東南アジアなど生活習慣病の多発地域で、低出生体重児(生下時体重<2500g)の出生率の増加の報告から、将来の生活習慣病予防を目的に胎児期の栄養環境を改善すべく、各々の国でその対策が練られている。 そこで我々は、たとえ低出生体重児でも、その後の食習慣を調整することで、将来の生活習慣病のリスク軽減が可能となるのではないかと仮定し、低出生体重児を対象に調査研究を始めた。1年目は、我々の研究協力機関である南インドに立地するAnnamalai 大学の医学部Dr.Chidambaramの協力を得て、大学周辺で出生した出生時の体重が明らかな子供を対象に健康診断を実施し、出生体重差による健康リスクの検討を行った。 方法:対象者を集めるため、大学近隣学校の校長先生の協力を得て、7月に13〜15歳を対象に説明会を実施した。本人およびその保護者の同意の得られた10代を対象に健康診断を実施した。健診内容は、体重,身長、血圧測定、体組成測定、空腹時採血(総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、血糖値、インスリン、HbA1c、中性脂肪、葉酸、ホモシステイン)、24時間採尿(ナトリウム、カリウム、クレアチニン、マグネシウム、尿素窒素)、アンケート調査(生活習慣および食事調査に関する質問紙)であった。 結果と今後:健康診断参加の生徒200名の平均年齢は、男子150名:13.2±0.8歳、女子50名:13.1±0.5歳であった。出生時体重(g)は男子2819±698、女子2706±470であった。出生時体重による単純な群分けでは健診結果で特に低出生体重群で正常体重群と比較し有意差を認めなかったが、血糖値(113.5±12.8㎎/dl)と中性脂肪(171.2±43.1㎎/dl)が高値であった。より詳細な解析をすすめ、南インドの子供達の健康リスクについて検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目に予定していたAnnamalai大学のあるChidambaranの地域の中高生200名を対象に、ほぼ予定通りの内容で健康診断を実施できた。ただ、先方の大学の都合で血液検査結果の入手に6か月もかかり、2月の出張時点では、健診結果が得られず、結果に基づいた健康リスクの評価および、次年度の研究計画を決定するまでには至らなかった。 そこで、次年度も、血液検査結果の入手が困難になると予測されるので、研究目的を変えずに研究を遂行できる対策を考え、そのため、前年度末に、これまで調査研究を行ってきた東南アジアの共同研究とも連絡を取り、次年度の研究の候補地としてスリランカを考えている。スリランカは南インドに近く、食習慣や生活習慣が類似し、子供が出生した後の成長記録を記載する日本の母子手帳に相当する制度がすでに存在している。さらに以前、我々が調査した中学生の24時間採尿の結果では、食塩摂取量やナトリウム/カリウム比、タンパク質の摂取量などの傾向や体格指数BMIが南インドの中学生と類似していた。 従って、今年度はスリランカで介入研究の準備を進めており、初年度の実施は現地での予測できない困難があったが、それを克服し、充分満足のできる達成度であると評価しうる。
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今後の研究の推進方策 |
今回の南インドの中学生を対象とした健康診断では、当初予測していたような出生時体重の違いによる健康状態の明らかなリスクの差は検証できなかった。その理由は対象とした中学生で、24時間採尿によるタンパク質摂取量の値が成長期に必要な量から考えても少なく、収縮期、拡張期血圧などのリスクが体組成計による筋肉量や体脂肪率に関係があることが示唆され、成長期の栄養不全によって、生下時の栄養差によるリスクが明瞭でなくなる為と考えられる。すなわち、インドのような田舎の地域では、出生時体重の問題も重要であるが、その後生まれ育った食環境の影響がより大きいと考えられる。 したがって次年度は、タンパク質の摂取量を増やすような食介入を出生時体重も加味しながら、検討できるような方法を考え、現地の食育に貢献すること、また、その成果を日本でも生かせるような成果に繋がるよう尽力する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
健診結果が出た後に、その後追加項目として脂肪酸を測定予定であったが、血液検査の結果を入手するのに、先方の理由により6カ月かかってしまい、時間的に追加して分析することが不可能となったため。ただ、健診結果のデータのまとめを行っていると、出生時体重のリスクよりも、現在の食習慣の状況が健康状態に悪影響を及ぼしているのではないかという結果が得られたので、脂肪酸を分析する予算については、3年間の成果がよりよくなるように2年目に有効利用したいと考えている。 現在、昨年度の健診結果をもとに、子どもたちの健康リスク改善のための介入研究の計画をたてているが、当初予定していたよりも、介入期間が長期になる可能性があるため、脂肪酸を分析するよりも、期間延長の予算に充てる方が、研究を遂行するためには重要であると考えている。 実際に理想の研究計画と実践できる内容には差も生じてくる可能性もあるが、現地との話し合いを進めていく上で、最善の方法で介入研究が行えるようにする予定であり、研究の目的を最終的には追求できるように、次年度も進めていこうと考えている。
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