H28年は最終年度であり、2つの調査地(カメルーン共和国東部州およびパプアニューギニア国西部州)においてフィールド調査を実施した。カメルーンではピグミー系狩猟採集民の子どもを対象として、パプアニューギニアにおいては低湿地帯に暮らす農耕狩猟民の子どもを対象として、身体計測、体力テスト、OOL質問紙調査、食事調査を実施した(調査項目は後述)。4年間の研究期間でカメルーンとニューギニアでそれぞれ3回調査を行い、調査項目によって多少はあるものの、それぞれ約180名の子どものデータが得られた。 具体的な調査項目について簡潔に紹介する。1.身体計測(身長[cm]、体重[kg]、上腕囲[cm]、上腕三頭筋皮脂厚[mm]、肩甲下皮脂厚[mm])を測定して、年齢・性による基準値と比較したり、WHOの成長曲線と比較したりして子どもの体格と栄養状態、成長状況について評価した。また、日本人の体力テスト(文科省「新体力テスト」)の項目から現地で実施可能な項目について、2.体力テスト(握力[kg]、立ち幅とび[cm]、上体起こし[回/30秒]、立位体前屈[cm])を実施した。そして、3.QOL調査(PedsQLを用いて1. 肩甲と活動[8項目]、2. 感情[5項目]、3. 他者との関わり[5項目]、4. 学校[5項目]について、計23の質問項目)、さらに、4.食事調査(24時間思い出し法および食物摂取多様性に関する質問紙調査)を実施した。 すべてのデータ解析を終えるにはまだ時間が掛かるが、専門家向けに、国内研究会2回(カメルーン調査ならびにパプアニューギニア調査)を開催した。さらに国内外の学術集会(海外3回、国内1回)において招待講演またはシンポジストとして研究発表を行った。また、一般向けには、市民公開講座で講演2回、サイエンスカフェを1回行い、調査内容および研究成果について広く一般市民に伝えた。
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