• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

ベトナムの2大河川最下流域における毒性化学物質による食品汚染に関する調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 25305005
研究機関大阪大学

研究代表者

平田 收正  大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30199062)

研究分担者 住村 欣範  大阪大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30332753)
原田 和生  大阪大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (50397741)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード環境分析 / 環境政策
研究実績の概要

ベトナムのメコン河及び紅河の最下流域は世界有数の農畜産物や水産物の生産地であり,日本や欧米への主要な食料供給地域となっている.しかし,近年の流域の急速な発展による水質汚染が深刻化し,生物濃縮による無秩序な農薬や抗生物質の使用による食品汚染も危惧される.本研究では,現地機関との連携による食品の化学物質汚染の実態調査を行い,これに基づいた現地での改善策の提言を目指す.
平成26年度は,タイビン周辺において,i) 小集落の保健所,薬局が,農家などに対して販売している化学物質について,販売量,回数などの集計情報を得ることができた.ii) 食品汚染実態のマッピングを目的として,現地視察やインタビューにより,河川水や養殖魚介類のサンプリングサイトの選定を行った.iii) タイビン医科大学において、より精度の高い重金属測定を実施するために,原子吸光光度計を用いた重金属測定法の検討を行った.iv) 河川水,公設市場周辺の環境水をサンプリング,残留化学物質解析を行い,前年度と同様にいくつかの化学物質の残留が頻度よく確認され,環境汚染が「慢性化」していることが推測された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度は,平成25年度に実施した調査研究を継続しつつ,豚,鶏,水産物の飼育,養殖といった生産,現地市場に至る流通の各工程で人為的に使用されている化学物質について聞取調査を実施することを目的とした.実際,小集落の保健所,薬局で農家などに対して販売している化学物質について、販売量、回数などの集計情報を得ることができ,当該地域全体の使用実態を推測できる情報を得ることができた.
また,生産工程において使用される「河川水」から生産物に蓄積される有害物質の生物濃縮による汚染実態をLC/MS/MSなどを用いて解析することを目的とした.実際,河川水からは前年度と同じいくつかの化学物質の残留が頻度よく確認され,環境汚染が「慢性化」していることが推測された.

今後の研究の推進方策

ベトナムの2大国際河川であるメコン河及び紅河の最下流域に位置するカントー市およびタイビン省を対象とし,カントー大学およびタイビン医科大学と連携して調査を実施する.これらの地域において主にi)栽培・飼育・養殖といった生産,現地市場に至る流通の工程で人為的に使用されている有害物質の解析,ii)生産工程において使用される「河川水」の有害物質の解析を行う.
平成27年度はこれまでに実施した調査研究を継続するとともに,養殖淡水魚,エビ,貝類に対象を絞り,河川水および流通の過程で使用される農薬,保存料,防腐剤による重金属,農薬などの有害物質の汚染実態を解明する.養殖場とその近辺の河川,加工食品製造工場,卸売市場,小売市場,小売店などフードチェーンの各ステップで,河川水および食品検体を収集し,重金属は誘起結合プラズマ-質量分析,農薬はガスクロマトグラフィー, 液体クロマトグラフィー/質量分析を用いて解析を行う.さらに,地域特有の食文化や食品生産方法を考察した文化人類学的な解析を組み合わせることにより,食品汚染実態のマッピングを行い,食品汚染の広域分布予測や今後の経時変化予測を行い,海外に輸出される食品の有害物質汚染を阻止するために監視すべきステップあるいは対策を提言する.さらに現地のヒトに対する健康被害リスクの評価も行う.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は当初予定していた現地住民インタビューなどにおいて謝金が発生しなかったこと,消耗品についても当初の予定より節約できたことが挙げられる.また,現地の詳細な地理情報を参照できるオンラインマップの購入を検討していたが,仲介業者からベトナムからの情報取得が不可能であった旨,連絡があり,断念した。

次年度使用額の使用計画

次年度に持ち越した金額は,現地での抜取調査に必要な固相抽出カートリッジ,内部標準試薬,標準試薬などの購入,および日本人研究者のベトナム渡航に充てる予定である.

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi