研究課題
ベトナムのメコン河及び紅河の最下流域は世界有数の農畜産物や水産物の生産地であり,日本や欧米への主要な食料供給地域となっている.しかし,近年の流域の急速な発展による水質汚染が深刻化し,生物濃縮による無秩序な農薬や抗生物質の使用による食品汚染も危惧される.本研究では,現地機関との連携による食品の化学物質汚染の実態調査を行い,これに基づいた現地での改善策を考案することを目的とした。紅河最下流域のタイビン省において前年度までに確立した重金属測定法を用い,周辺の農村でサンプリングした農作物,魚介類,水のヒ素,カドミウム濃度を測定し,汚染実態を確認した.また,隣接するナムディン省の金属精錬加工を行っている集落を調査し,環境水の残留重金属を測定し,汚染実態を確認した.メコン河流域のカントー市では水産養殖場,およびその周辺の河川における残留化学物質の解析を行い,抗菌性物質の残留が認められた.当該地域で生産された水産物の多くは,ベトナム最大の都市ホーチミン市に輸送され,また加工され海外に輸出される.近年,ベトナム産輸出品で有害汚染物質が検出され,廃棄,積戻しの措置がとられる事例は減少しつつあるが,国内で流通する水産物からは抗菌性物質が検出される事例が報告されており,食品流通時の監視体制に大きなギャップがあることが推察される.輸出品のみならず国内流通品に対する監視体制の強化がベトナム国民および渡航者の食の安全を担保するために必須であると言える.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Fish Pathology
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