研究課題/領域番号 |
25305007
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉田 栄人 金沢大学, 薬学系, 教授 (10296121)
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研究分担者 |
都野 展子 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (60295102)
松岡 裕之 自治医科大学, 医学部, 教授 (10173816)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マラリア / ハマダラカ / 唾液タンパク質 / インドネシア |
研究概要 |
インドネシア政府は、2012年10月-2013年3月の間、蚊忌避剤が含有した蚊取り線香(SR)のマラリア感染率低下効果を調べるために、三日熱マラリア感染地域であるスンバ島で大規模フィールド介入試験を実施した。本研究は、この介入試験統括者であるSyafruddin博士と共同で、我々が独自に発見したハマダラカ唾液タンパクAAPPを用いて介入試験期間とその直後3年間の試験地域住民(SR群 vs Placebo群)のAAPP抗体価の変動を調べ、マラリア感染率との相関関係を解明することを目的とする。 25年度は共同研究者と共にインドネシア・スンバ島のWainyapu村を訪れ、ライトトラップによるハマダラカの収集およぎ住民の血清収集を行った。血清サンプルについては、SR介入試験前後に前もって採取した血清サンプルと合わせてSyafruddin博士と共同で解析中である。捕獲したハマダラカについてはDNAを抽出し、AAPP遺伝子の配列分析中である。マラリア抗体疫学調査の最大の難点は、現地住民の血清が大腸菌組換えタンパクに対して非特異的に反応することが頻繁に見られることである。このため、高純度精製タンパクを抗原とすることが不可欠であるが、解析用ELISA抗原抗原として、AAPP, Aegyptin, PvCSP, PfCSPの4種類を大腸菌組換えタンパクとして精製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
インドネシア スンバ島でのフィールド調査で住民血清を収集し、さらに5種類以上のハマダラカを捕獲することに成功した。さらに抗体検査のための組換えタンパクの精製も順調に実施することが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
SR介入試験中に得られたヒト血清検体(SR使用群とPlacebo群)を用いて、ハマダラカ唾液抗原AAPPに対する抗体価をELISAで測定する。SRの効果をマラリア感染率とAAPP抗体価で数値化し、相関性を明らかにする。各種のハマダラカのAAPP遺伝子配列を解析し、コードされるAAPPタンパクの保存領域を確定して、AAPPエピトープの分布解析を行い、ユニバーサル合成ペプチドを設計して反応性を検証する。これによりAAPP抗体価を「マラリア感染危険度」という新しいクライテリアとして定義し、数理予測モデルに導入することにより介入試験のシュミレーションにつなげる。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度末に今まで使用していた培養バイオシェイカー(抗原タンパク発現用)が故障し、26年度への繰り越し金で急遽購入する必要が生じたため。 26年に繰り越し金を用いて、培養バイオシェイカーを購入する。
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