研究課題/領域番号 |
25305008
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
金 惠淑 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70314664)
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研究分担者 |
土居 弘幸 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20452568)
加藤 宣之 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40150883)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 風土病 / マラリア / リーシュマニア / HCV / 疫学 |
研究実績の概要 |
マラリア、リーシュマニア症に関連する試料提供の合意が得られた。熱帯熱マラリア患者由来のDNAを用い、既に報告のある変異、薬剤耐性有無に関わると思われる遺伝子のSNP解析を行なった。pfmdr, pfcrt, pfdhpやプロモーター領域の一部のヵ所を精査した結果、SNPは見られるものの、比較として用いたラボ原虫株と同様に薬剤耐性に関連する変異ヵ所は検出されなかった。 ラボで維持するLeishmenia Major, L. Donovani を使い、ガーナ産 Milletia Thonningii より抽出したエキス画分及び構造決定した3化合物について抗リーシュマニア作用を評価した。ヘミン存在下ではほとんど活性が見られなかったが、ヘミン抜きの薬効評価系で1mg/ml 以下で阻害能を示す化合物を見出した。これら化合物(エキス画分)についてはさらに精製を行っている。L. major とL. donovaniで阻害能が見られた画分はマラリア原虫にも阻害能を示すことから、両病原体の共通分子が阻害能の標的の可能性がある。 HCVゲノム構造で最も保存された領域は5'非翻訳領域である。しかしながら、同じ遺伝子型でも持続感染期間が長いと変異が蓄積してしまい、RT-PCRによるHCVゲノムの検出増幅の妨げになる。貴重なサンプル内のHCVゲノムを確実に検出増幅することを目的として、今年度は1b型HCVゲノムが長期間(最長9年)複製したことによりHCV遺伝子の多様性が生じているHCV複製モデル系を使用して5'非翻訳領域の遺伝子解析を行い、変異しない領域の同定を試みた。その結果、HCVの複製が長期間繰り返されても全く変異しない領域を同定することができ、ほぼ100%の検出効率が予想されるプライマーセットをデザインすることができた。今後の遺伝子型解析におけるユニバーサルプライマーとしての有用性が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(遅れの原因) H26年度にガーナ出張を予定していたが、エボラ出血熱が西アフリカを中心に猛威をふるい、感染の危険ともしもの感染による拡大を事前に防ぐため、海外出張を自粛した。そのため、研究にやや遅れがでた。 (対策) 研究全体の遅れは最終年度に可及的速やかに行なうことで遅れないようにする。現地の協力者に試料の収集をお願いしている。集まった試料の処理、共同研究遂行のためにH27年度にガーナでの実験を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度は最終年度であり、また、エボラ出血熱が西アフリカよりほぼコントロールに向かっている現況をふまえ、当初の研究計画通りに可及的速やかに遂行する予定である。 1.薬用資源のデータベース化と有用シーズの探索(マラリア、リーシュマニア症)。ガーナ産由来の天然物、及び民間で薬用植物として用いられているのを優先に餞別し、評価する。 2.有用植物由来成分の単離・抽出・構造決定、及び薬効評価。薬効を有する化合物については有機合成可能性有無も検討する。 3. in vitro, in vivo スクリーニング系での薬効評価、毒性評価、及び提供の利便性について精査する。 4.HCVの遺伝的多型と地理的関連、薬剤感受性有無の精査。マラリア、及びリーシュマニア症についてもSNP解析と薬剤耐性有無の関連性を引き続き検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度に海外出張(アクラ、ガーナ)を予定していたが、西アフリカを中心にエボラ出血熱が流行したため、感染の危険性回避を最優先に考え、出張を自粛した。そのため、海外出張の経費が余った。
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度に前年の研究のやや遅れを取り戻すため、試料の収集と調査のために海外出張旅費に費用を充て、研究の当初計画通りに遂行できるように最大に努力する。
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